神経障害性疼痛の原因となるタンパク質がわかった!

[ニュース・トピックス] 2014年6月06日 [金]

facebook
twitter
google
B

神経障害性疼痛のメカニズムが判明

(この画像はイメージです)

 がんや糖尿病、帯状疱疹などにより神経が障害されると、鎮痛薬が効きにくい「神経障害性疼痛」という慢性痛が発症し、服が肌に触れただけでも非常に痛みを感じることがあります。しかし、その詳しいメカニズムは明らかになっていませんでした。
 九州大学ら研究グループはこれまでに、脳や脊髄の免疫細胞と呼ばれる「ミクログリア」が神経損傷後の脊髄で活性化することで、慢性的な痛みを引き起こしていることを明らかにしています。ミクログリアは、細胞の働きを調節するタンパク質が増えることで活性化状態となりますが、その中でも、細胞を興奮させるタンパク質であるP2X4受容体は、神経障害性疼痛の発症に非常に重要な役割を果たしていると考えられています。しかし、どのようにP2X4受容体がミクログリアの中だけで増加するのかは不明でした。

原因タンパク質「IRF5」を突き止めることに成功

 今回、研究グループは、神経を損傷させたマウスの脊髄で、様々な遺伝子の発現をコントロールするタンパク質「IRF5」がミクログリアの中だけで増えることを発見。この増加は、「IRF8」というタンパク質によって調節されていることも判明しました。
 また、IRF5を作り出せないように遺伝子を操作したマウスでは、神経損傷後の痛みが弱くなることや、IRF5がP2X4受容体の調節に必要な遺伝子領域に作用して、P2X4受容体を増やすように働いていることが明らかになりした。つまり、神経損傷後、IRF8によってミクログリアで増加するIRF5が、P2X4受容体を増やすというメカニズムが、神経障害性疼痛を引き起こす原因であるとわかったのです。
 IRF5は、神経障害性疼痛に重要なP2X4受容体を増やし、ミクログリアを「痛みモード」にかえる実行役のような働きをします。これまで多くの患者さんが辛い思いをしてきた神経障害性疼痛。IRF5の働きを抑える薬の登場が期待されます。(QLife痛み編集部)

記事の見出し、記事内容、およびリンク先の記事内容は株式会社QLifeの法人としての意見・見解を示すものではありません。
掲載されている記事や写真などの無断転載を禁じます。

「痛み」の注目記事