長期的な効果の差はなし?局所麻酔薬とステロイド薬を用いた神経ブロック注射

[ニュース・トピックス] 2014年8月04日 [月]

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科学的根拠が乏しいステロイド併用の神経ブロック注射

(この画像はイメージです)

 腰部脊柱管狭窄症は、背骨にある脊柱管という神経の通り道が、加齢などの理由で狭くなり、神経を圧迫することで脚のしびれや痛み、脚の脱力感といった症状が現れる病気です。腰部脊柱狭窄症の治療では、痛みやしびれを緩和するために鎮痛剤や神経ブロック(注射)が用いられます。
 アメリカでは、神経ブロックを行う際に局所麻酔薬のリドカインと、グルココルチコイドというステロイドの一種を併用することが多いのですが、実はこのステロイドを併用した際の治療効果については、科学的な根拠が十分に示されていませんでした。そこでアメリカ・ワシントン大学のJanna L. Friedly教授ら研究グループは、この併用法について調査を行いました。

6週間後、有意な差は認められず

 この研究では、腰部脊柱狭窄症によって中度から重度の下肢痛や障害をもつ患者さん400人を対象に、「グルココルチコイドとリドカインを硬膜外注射するグループ」と「リドカインを単独で硬膜外注射するグループ」に分けて行われました。患者さんは6週間の治療期間中に神経ブロックを1~2回、それぞれ受けました。
 6週間後、患者さんに「Roland-Morris Disability Questionnaire(RMDQ)」という身体障害の重症度を示すスコアと、患者さん自身が感じる脚の痛みの強さを答えてもらいました。するとRMDQスコアでも、患者さんが訴える脚の痛みの強さでも、2つのグループ間で有意な差は認められなかったことから、研究グループはステロイドを併用する神経ブロックはほとんど効果が無いと結論付けました。(QLife痛み編集部)

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