関節リウマチの患者さんは骨粗しょう症になりやすい?

[ニュース・トピックス] 2015年5月08日 [金]

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骨粗しょう症を引き起こすメカニズムの一端を発見

(この画像はイメージです)

 東京大学ら研究グループが、関節リウマチなど自己免疫疾患がもたらす骨粗しょう症のメカニズムの一端を、マウスを使った実験で発見したと発表しました。自己免疫疾患を患うと、骨粗しょう症のリスクが高くなることは医師の間ではよく知られていました。その理由としては、自己免疫疾患それ自体が原因となること、治療に用いるステロイド薬によるもの、体を動かすことができなくなることの3つが考えられていました。
 また、自己免疫疾患だけでなく、慢性炎症性腸疾患などの炎症性疾患や、多発性骨髄腫でも骨粗しょう症を伴うことが知られています。しかし、このような炎症に伴う骨破壊も含め、骨粗しょう症のメカニズムは十分に解明されていないため、これを未然に防ぐことは困難とされていました。

免疫複合体が骨を壊す細胞に働きかける

 今回、研究グループは、多くの自己免疫疾患や炎症性疾患で、共通して増加する抗原・抗体複合体(免疫複合体)が、骨を壊す細胞である「破骨細胞」に直接的に働きかけることで、骨を減少させることを発見しました。
 研究グループは、自己免疫疾患を発症したマウスの解析や、免疫複合体を投与したマウスの骨の解析、関節リウマチの症状を再現した遺伝子改変マウスを用いた遺伝子発現解析などを実施しました。さらに、人工的に免疫複合体を作製し、マウスの頭蓋骨へ局所的に投与したところ、顕著な骨の破壊が起こったといいます。
 これらの研究結果から、免疫複合体が増加することで、それを認識する受容体たんぱく質の発現バランスが変化し、関節リウマチなどに代表される局所的な骨の破壊だけでなく、全身性の骨粗しょう症の一因となることが明らかになりました。今後は、免疫複合体がさまざまな自己免疫疾患や炎症性疾患に伴う骨の破壊と、骨粗しょう症を早期発見する有効な方法となることが期待されます。(QLlife痛み編集部)

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