医師は「対話している」と思っても、患者の受け止め方は違う?

[ニュース・トピックス] 2013年8月28日 [水]

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患者が対話できない最大の理由「医師が忙しそう」

(この画像はイメージです)

 慢性疼痛治療において、医師の91.3%が患者と治療内容について、十分に対話していると思っている一方、通院中の患者が、十分に対話していると思っているのは73.8%。このような、対話に関する意識のズレが、調査によって明らかになりました。調査を行ったのはファイザー株式会社。慢性疼痛患者5150人と医師103人を対象に、痛みに関するインターネット調査を実施しました。
 医師103人に、患者と治療内容について十分に対話しているかを質問したところ、91.3%の医師が「対話している」と回答しました。一方、患者に、医師と治療内容について十分に対話しているか(していたか)を聞いたところ、現在通院中の患者1892人では、73.8%が「対話している」と回答。治療を中断した患者1576人では、「対話していた」と回答したのは44.6%にとどまりました。
 さらに、「対話していない/していなかった」と答えた患者2067人に、対話が十分にできなかった理由を尋ねました。すると、通院中の患者では「医師が忙しそう」が最も多く、「自分が症状を上手く説明できなかったから」が続きました。治療を中断した患者でも「医師が忙しそう」が最も多く、同じく「自分が症状を上手く説明できなかったから」が続きました。

症状をうまく伝えられない患者の葛藤が明らかに

 また、医師からの治療内容の説明が理解できたかどうかを、通院中の患者と、治療を中断した患者、それぞれ聞きました。その結果、通院中の患者では81.3%が「理解できた」と答えていたのに対し、治療を中断した患者では「理解できた」と答えた人は58.0%でした。
 この結果に慶應義塾大学看護医療学部の杉本なおみ教授は、
 「医師との対話が十分でないと答えた人の割合は、通院中で26.2%、通院終了・中断の場合には48.3%に上りました。その原因について直接尋ねたところ、『医師が忙しそう/時間がなさそう』に続き、『自分がうまく説明できなかった』という回答の割合が高くなりました。別の質問では、一番伝えたかったことは『正確な症状』との答えが最も高い割合を占めました。つまり、医師に痛みの性状を正確に説明したいと思っているにも拘わらず、実際にはうまく伝えられないという患者の葛藤が、今回の調査結果を通して窺えます」とコメントしています。(QLife痛み編集部)

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