【医学的に徹底検証】本当に効くの?コンドロイチン、グルコサミン 後編

[ニュース・トピックス] 2013年9月06日 [金]

facebook
twitter
google
B

コンドロイチン&グルコサミンの科学的・医学的評価は?

コンドロイチン&グルコサミンは関節の痛みに効果はある?(この画像はイメージです)

 一般的に、お薬の医学的評価は、エビデンスレベルに応じた論文の吟味で行われます。そこで後編では、コンドロイチンやグルコサミンに関する医学研究論文を徹底検証。実際の試験結果で本当に効果があったかどうかをご紹介します。

医学研究論文を徹底検証してみると

 世界中の医学論文が集まるPubMedで確認してみました。結論から先に言うと、「効くかも知れない、効かないかも知れない、けれど気を付けていれば悪影響はそれほどない」です。つまり、前編で述べてきたことと、変わりません。欧米の専門誌にもコンドロイチンとグルコサミンについて、「効果があった」という論文と「効果が無かった」とする論文が双方たくさん発表されています。論文の本数では「効果が無い」研究結果の方が優勢に見えますが、決定的ではありません。

【効果があったという論文の例(2重盲検のみ)】

膝変形性関節症患者が、コンドロイチン硫酸・塩酸グルコサミン・アスコルビン酸マンガンの三つを併用した製品で、痛み改善

変形性膝関節炎患者が、コンドロイチン硫酸800mgの2年間毎日摂取で、痛み改善

【効果がなかったという論文の例(2重盲検のみ)】

慢性腰痛症や変形性腰部関節症患者が、グルコサミン1,500mgの6ヶ月間毎日摂取で、6ヶ月後と1年後において、痛みに効果なし

50歳以上の膝変形性関節症患者が、塩酸グルコサミン1,500mgおよびコンドロイチン硫酸1,200mgを6ヶ月毎日摂取で、歩行距離および膝の強度、痛みに効果なし

既に効果を感じているなら飲み続けるメリットも

既に効果を感じているなら飲み続けるメリットも(この画像はイメージです)

 さて、「効く」と断言できない時は、どうしたら良いのでしょうか。逆に「効かない」と断言できないのに、止めて損はないのでしょうか。判断は難しいところです。まだ飲んでいないなら、摂取は慎重に考えるほうがよいでしょう。でも、もし既にコンドロイチンやグルコサミンの摂取で効果を感じているならば、前述のとおり大きな害はなさそうですから、あえて止めなくてもよいでしょう。医学論文でも2重盲検というエビデンスレベルの高い「効いた」ケースが報告されているわけですから。
 もともと、どんな物質でも全員に同じように効くわけではありません。医療用医薬品でさえ、「効かない患者」がゼロではないことが一般的です。ヒトの身体の特徴や生活習慣、環境など様々な因子に影響を受けるからです。逆に、効能がないはずの薬でも暗示で効く「プラセボ効果」や、自意識が強くなることで効く「ホーソン効果」が働くことも少なくありません。医療用医薬品の成分でさえ「効果が安定・確実」というわけではないのです。
 とはいえ、今効果を感じている方でも「もっとたくさん飲む」ことには注意をすべきです。一般論として患者さんが栄養補助食品を摂ることには以下のリスクがあります。

  • 過信するあまり、病院に行かず適切な治療が受けられない
  • 医薬品の効果を強めたり弱めたりしてしまう
  • 費用追加されることによる経済的負担

 また、栄養補助食品の常用で正しい食習慣が身につかなくなる可能性があったり、妊婦や出産したばかりの女性が栄養補助食品をとることは、母体だけでなく胎児や乳児にも影響が出る可能性があります。
 覚えておいていただきたいのは、医薬品は「製品としての品質が一定」「病気の人が対象」「医師・薬剤師が管理」するものであり、栄養補助食品は「品質が一定とは限らない」「健康な人が対象」「利用するかどうかは消費者が決める」ものです。今後も様々な情報に注意をして、目的・方法・摂取量に十分配慮しながら利用をしましょう。もし不安を感じたら、すぐに使用を中止して、医師や薬剤師に相談しましょう。

記事の見出し、記事内容、およびリンク先の記事内容は株式会社QLifeの法人としての意見・見解を示すものではありません。
掲載されている記事や写真などの無断転載を禁じます。

「痛み」の注目記事