関節リウマチかな?と思ったら・・・

[診断と治療法の決定] 2015年4月21日 [火]

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まずは自分の症状を振り返る

 関節リウマチの治療では早期発見、早期に抗リウマチ薬を投与して関節破壊を予防することが、3つの寛解の達成につながります。そのためには、まず、患者さん自身がからだの変調に気づくかどうかが重要なポイントです。

 関節リウマチという名前から、どうしても関節の症状に注目しがちですが、いきなり関節に症状が出ると決まっているわけでもなく、症状の現れ方はそれぞれです。この病気は全身に影響を及ぼす疾患であることをもう一度思い出して、次のような全身および関節の症状がないか振り返ってみましょう。

【全身症状】
「からだがだるい」「疲れやすい」「食欲不振」「微熱が続く」などのはっきりしないからだの不調が慢性的に続く。

【関節症状】
「朝、目覚めたあと、からだのこわばりを感じる」「関節が痛む」「腫れている関節がある」「からだの反対側の対になる関節も同様に痛む」・・・など。

 また、家族にリウマチになった人がいるかどうかもチェックポイントです。家族の中に関節リウマチ患者さんがいる人は、そうでない人と比べて関節リウマチになる可能性がやや高まるためです。

関節リウマチ?と思ったときの自己チェック
関節リウマチ?と思ったときの自己チェック

どの診療科を受診する?――リウマチ科・リウマチ専門医とは

 関節リウマチは、症状の現れ方が複雑で、しかも波があるため、鑑別診断(他の病気の可能性を退けて関節リウマチであると診断すること)が難しい病気の一つです。最初に気づいた症状が関節の「こわばり」「痛み」「腫れ」などであれば、まずは整形外科に行くのが一般的な選択でしょう。実際に関節リウマチと診断された場合、日常のリハビリテーションも重要ですし、関節症状が進めば、整形外科による手術療法が必要になる可能性もありますから、正しい選択と言えます。一方で、関節リウマチは全身疾患であり、薬物療法が中心となり、免疫力の低下などの副作用や合併症等を考慮する必要がある――と考えると、内科で治療を受けるべきではないか・・・との迷いがでる場合もあるでしょう。

 担当医が内科医か整形外科医であれば、問題はありませんが、できればリウマチの患者さんを数多く診ていて、最新治療に精通した医師の診断・治療を受けたいものです。そのためには、「リウマチ科」を標榜している医療機関を選ぶことが一つの目安となります。多くの場合、リウマチ科は整形外科やリハビリテーション科、内科等と併設されています。どの診療科を標榜するかは医師の自由ですが、得意とする診療科を標榜するのが一般的だからです。もう一つの目安は「日本リウマチ学会」で認定されている「リウマチ専門医」や、「日本整形外科学会」の「認定リウマチ医」などの資格の有無を確認することです。住まいの近くに専門医がいるかどうかは、それぞれの学会のホームページから検索することができます。かかりつけ医がいる場合は、現在困っている症状などをよく話して、関節リウマチを専門とする医師を紹介してもらうのがよいでしょう。

関節リウマチかもと思ったら、どの診療科に行く?
関節リウマチかもと思ったら、どの診療科に行く?

最初の受診時、どのように症状を伝えたらいい?

 関節リウマチでは、ある時期には関節に痛みや腫れがひどくでて、全身の疲労も激しく食欲不振に陥ります。にも関わらず、しばらくすると治療をしなくても症状が治まる場合があります。このように症状に波があると、つらいときは受診しようと思っても、波がひくと大丈夫だと思いがちです。

 関節リウマチの患者さんには、症状がでてから1、2年経つうちに軽快する人がいます。しかし、“病気が活発に活動する時期”と、“息を潜めている時期”とがあり、病気自体が治っていない人のほうが多いです。その場合、周期を繰り返しながら、徐々に悪化していきます。第1章でも説明したように、関節リウマチの治療は初期症状が重要。「おかしいな?」と思ったら、まずは受診しましょう。

 実際の受診の際、どのように“不安定でとらえどころのない”つらさや痛みを伝えたらよいでしょうか?ヒントとしては、受診の前に「どこが」「いつからいつまで」「どのような」痛み、違和感、こわばりがあるか、を整理してみることです。例えば、以下について書き出します。

・関節の痛み――いつから、どのように痛むか?からだの反対側の対になる関節に痛みはあるか?
・関節の腫れ――どこの関節に腫れがあるか?対になる関節はどうか?
・圧痛(あっつう)――何もしなければ痛くないが、関節を横から指で挟んで押すと痛むか?
・朝のこわばり――いつからか。朝目覚めてから、こわばりがとれるまでどのくらい時間がかかるか。

 これらに加えて「疲労感・倦怠感」「微熱」「食欲不振」などの全身症状の時期や程度、これまでにかかった感染症なども伝えましょう。

関節リウマチの進行のしかたには波がある
関節リウマチの進行のしかたには波がある

監修:林 泰史 東京都リハビリテーション病院院長
1939年生まれ。1964年京都府立医科大学卒業後、東京大学整形外科に入局。東京都衛生局技監(東京都精神医学研究所所長兼任)、東京都老人医療センター院長、東京都老人総合研究所所長などを経て2006年より現職。
著書は「老いない技術」(祥伝社)、「骨の健康学」(岩波書店)など多数。

(スーパー図解 関節リウマチ 平成25年9月26日初版発行)

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