関節リウマチの外科手術療法って?

[手術療法] 2015年8月11日 [火]

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どの手術も、薬で炎症をある程度抑えたうえで実施する

 生物学的製剤など新しい薬の登場によって、最近では関節リウマチと診断されてから手術に至るまでの年数が長くなったり、滑膜切除術などは手術そのものが減る傾向にあります。これは薬によって病気を抑え、関節破壊の進行を遅らせることができるようになった結果であり、喜ばしい変化です。

 しかし、すでに破壊されてしまった関節がある場合、それは薬では修復されません。とくに膝関節、股関節、くるぶしなど下半身の関節には、立ち歩く際などに常に体重がかかるため、年齢を重ねて関節の変形が進むと、痛みが生じてきます。また、体重のかからない上肢でも手術を受けることで、変形してしまった手指を修復し、物を握ったりつまんだりといった機能をとり戻すことができます。このように、手術療法は関節リウマチ治療では重要な位置を占めます。

 手術の適応は、薬によって“病気の活動性がある程度コントロールできている”けれども“痛みがあり”、“関節の変形が強い”場合です。手術を受けると痛みがとり除かれ、関節を動かす、関節で物を押さえる(支持する)といった機能回復を図ることができます。ただし、滑膜切除術のページでも紹介したように、関節リウマチの手術では、タイミングの見極めがとても重要です。とくに人工関節置換術の手術の主な対象は、関節破壊の段階がステージ3から4にある患者さんです。手術のタイミングを逃さないよう、主治医とよく相談しながら、治療方針を検討しましょう。

こんなときに手術を検討する
こんなときに手術を検討する

監修:林 泰史 東京都リハビリテーション病院院長
1939年生まれ。1964年京都府立医科大学卒業後、東京大学整形外科に入局。東京都衛生局技監(東京都精神医学研究所所長兼任)、東京都老人医療センター院長、東京都老人総合研究所所長などを経て2006年より現職。
著書は「老いない技術」(祥伝社)、「骨の健康学」(岩波書店)など多数。

(スーパー図解 関節リウマチ 平成25年9月26日初版発行)

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