[ウンチから、腸内環境がわかる!] 2010/06/18[金]

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ところで、「ベンノ」というのは、本名ですか!
 よく聞かれるんですが、本名です。生まれた時から、便の研究をするのが天命なのです。(笑)
どんな研究をしているのですか。
小腸と大腸
大腸・小腸図解(クリックで大きくなります)
photo : Wikipedia

 腸内細菌の代表格、乳酸菌が発見されたのは、150年以上前の1857年。有名なパスツール博士です。日本では100年くらい前から腸内細菌の研究が始まりました。でも当時は、「培養」による検査法で調べていました。ヒトの腸内細菌を開腹手術して取り出すわけにはいきませんから、うんちの中に含まれている腸内細菌を、培養して増やし、それを顕微鏡で見るのです。

なるほど。
 ところがある時、多くの腸内細菌は嫌気性といって、酸素があると生きられない微生物だと分かったのです。つまり、従来の培養法では死んでしまって見つからない、無数の腸内細菌が存在していると。そして1990年代初頭に、DNA解析という新手法が開発され、それまでの培養法ではいくら頑張っても全体の25%以下しか見つからない、と分かったのです。ショックでした。
新しい世界が拓かれたのですね。
 ある程度、研究が成熟しつつある分野と思われていたのが、実は未知の世界の方がずっと大きいと判明したのですから、世界中でDNA解析が始まりました。死んだ細菌も含めた、腸内細菌全体の種類や数が分かるようになり、また細菌がどのように働いて、他の細菌とどう相互作用するかも解明されつつあります。
辨野先生自身はどんな研究プロジェクトをやっているのですか。
 最低でも1万人、できれば10万人の糞便サンプルを集めたいと思っています。そしてその人達の健康診断の項目と、腸内細菌の関係性とをデータベース化するのです。これができると、健康診断で腸内細菌の解析を行った結果をもとに、各個人の腸内細菌の構成変化や構成が似ている人の病歴などを参考にして、「このままだと、こんな病気になりやすいですよ」と予測できるようになると考えています。そして、予防指導ができるようになる。これを、「おなかクリニックセンター」構想と呼んで、協力してくれる人や企業を募りながら進めています。

辨野義己(べんの・よしみ)先生プロフィール

辨野義己(べんの・よしみ)先生

(独)理化学研究所イノベーション推進センター辨野特別研究室・特別招聘研究員。東京大学農学博士。

酪農学園大学獣医学科卒、東京農工大学大学院を経て、1974年より理化学研究所・研究員、2004年から理化学研究所バイオリソースセンター微生物材料開発室長、2009年から現職。40年以上にわたって腸内細菌学・微生物分類学の研究に取り組んでいる。テレビ出演多く、著書も『腸内環境学のすすめ』(岩波書店)、『健腸生活のススメ』(日本経済出版社)など多数。

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