[シェーグレン症候群] 2015/10/09[金]

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 ドライマウスやドライアイの原因には、年齢やストレス、薬の副作用のほかに、病気によるものがあります。その代表的なものがシェーグレン症候群です。40~70代の女性に多くみられ、その患者数は50万人以上と推定されています。ところが、シェーグレン症候群と診断され治療を受けているのは、わずか7万5千人ほどにすぎません。

 シェーグレン症候群は自己免疫疾患のひとつですが、明らかな原因は特定されておらず、指定難病になっています。通常、免疫は異物やバクテリアから体を守るために備わっていますが、シェーグレン症候群になると、その免疫が誤って自分の唾液腺や涙腺を攻撃してしまいます。代表的な症状に口が乾くドライマウスと、目が乾くドライアイがあるほか、関節痛や疲れやすいといった全身症状がみられることもあります。ドライマウスやドライアイは両方起こる人もいますが、特にドライマウスの症状が強い患者さんが多いといわれています。乾燥に伴う痛みや不快感から生活の質にまで影響を及ぼすシェーグレン症候群について、鶴見大学歯学部 教授の斎藤一郎先生にお話を伺いました。

では、口や目の乾きが気になっている方は、ドライマウスやドライアイの可能性があるか、症状をチェックしてみましょう。当てはまる数が多いほど、その可能性が高くなります。受診の際は、自覚症状を医師に正確に伝えましょう。

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※キッセイ健康劇場の「ドライマウス チェックシート」「ドライアイ チェックシート」を基にQLife編集部で作成

専門医に聞きました。シェーグレン症候群Q&A

ドライマウス、ドライアイのようですが、シェーグレン症候群ですか?

乾きの原因を見つけるために、医療機関を受診しましょう

 ドライマウス、ドライアイが続くようでしたら、シェーグレン症候群の可能性があります。しかし、乾きにはシェーグレン症候群の他にも様々な原因がありますので、原因を特定するために医療機関を受診しましょう。

何科を受診すればいいですか?

ドライマウス外来や眼科、膠原病内科など自覚症状に合わせましょう

 自覚症状に合わせて診療科を決めると良いでしょう。たとえば、ドライマウスならドライマウス外来、歯科や口腔外科、耳鼻咽喉科、ドライアイなら眼科、乾きに加えて関節の痛みや繰り返す発熱がある場合はリウマチ・膠原病内科や内科など。問診では乾燥症状だけでなく、自分がどのような症状で困っているかを正確に伝えることが大切です。

どんな検査をしますか?

唾液や涙の分泌量や血液検査、生検病理組織検査などを組み合わせて行います

 シェーグレン症候群が疑われる場合、はじめに唾液分泌量の検査をします。唾液の分泌量が低下していれば、その次に膠原病に対する血液検査をします。
 また、ドライマウスによって起こる口の不快感や口角炎、舌の痛み(舌痛症)といった症状の原因のひとつにカンジダ(カビ)があるため、口腔カンジダ症の検査もします。そのほか、生検病理組織検査、唾液腺の状態を調べる唾液腺造影、画像診断による唾液腺シンチグラフィー検査など、数種類の検査を組み合わせて診断されます。

 ドライアイの検査としては、下まぶたに専用のろ紙をはさみ、涙の量を測るシルマーテスト、角膜や結膜の状態を調べるローズベンガル試験、蛍光色素試験をします。

どんな治療をしますか?

口や目などの不快な症状をやわらげる対症療法を行います

 シェーグレン症候群の原因はまだわかっていないため、根本的な治療法がなく、乾燥などの不快な症状をやわらげる対症療法が基本です。ドライマウスに対しては、唾液の分泌を促す薬が処方されます。また、水分補給や人工唾液スプレー、ジェル、軟膏などで口の粘膜の乾燥症状をやわらげるほか、唾液が出にくい場合は、虫歯になりやすいため、うがい薬で清潔を保ちます。

 ドライアイの症状に対しては、なるべく防腐剤の入っていない目薬で涙を補充したり、涙の蒸発を防ぐカバーのついた眼鏡をかける、涙の排出口である涙点をふさぐ涙点プラグといった治療が行われます。

 また唾液腺や涙腺は交感神経に支配されているため、精神的ストレスを緩和させるための認知行動療法や、症状をやわらげるためのライフスタイルの提案をしたりすることもあります。

普段どんなことに気を付ければいいですか?

規則正しい生活、ストレス解消とともに、以下のようなことを心がけましょう

 日常生活では、普段の何気ない行動を変えることで不快な症状を改善することができます。
  • 外出時は水分補給のための水筒や目薬を持ち歩く
  • 適度な運動をし、ストレスをためない
  • 室内の保湿を心がける
  • 歯や舌を清潔に保ち、虫歯に気を付ける
  • 口の乾燥には、ノンシュガーの飴やキシリトール入りのガムが、虫歯予防のためにもよい。酸っぱい飴で唾液の分泌を刺激
  • 食事のときはよくかむ
  • 食べ物が飲み込みにくい時は、汁物にとろみをつける、やわらかく煮る、一口大に切る、豆腐や茶わん蒸し、あんかけなど飲み込みやすい食品を取り入れる
  • 夜中、口が乾燥して何度も起きる場合は、あおむけでなく横向きに寝る、保湿用のマウスピースやマスクをする

シェーグレン症候群になったら、もう治らないのですか?

根本的な治療法はありませんが、早いうちの対処で生活の質の向上が可能です

 シェーグレン症候群は何も治療せずに長期間放っておくと、唾液腺が徐々に壊されていきますが、早いうちに対処すれば残っている唾液腺の働きを促せます。唾液の分泌を促進できると、不安感や乾燥による不快感が改善され、生活の質も向上できます。

潜在的な患者さんが非常に多い病気

 シェーグレン症候群の症状は多岐にわたるため、診断が難しいケースもあります。しかし、病気については日々研究され、治療法も進歩しています。ドライマウスの普及活動を長く続けてきましたが、ドライマウス外来にはいまだにたくさんの患者さんが受診されますので、潜在的なドライマウス、シェーグレン症候群の患者さんは非常に多いと思われます。症状が3か月以上、続いていたら受診の目安にしてください。「乾燥症状で悩んでいる方は、単なる乾きだからと我慢せず、ぜひ受診してほしいと思います。」(斎藤先生)

提供 キッセイ薬品工業株式会社

鶴見大学歯学部 教授
斎藤 一郎先生

ドライマウス研究会(会員数約4300人)代表、日本抗加齢医学会(会員数約8000人)副理事長。
専門は自己免疫疾患ならびに外分泌腺の障害・修復機構の解明。東京医科歯科大学難治疾患研究所、徳島大学等を経て2002年より現職。
鶴見大学歯学部附属病院にドライマウス外来を開設。2008年より4年間、鶴見大学歯学部附属病院の病院長を務め、現在も外来を担当している。

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