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[注目疾患!] 2018/10/17[水]

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男性更年期障害

なんとなくやる気が出ない、疲れやすい、眠れない――。そんな不調の原因は、男性更年期障害かもしれません。更年期障害は「女性がなるもの」と思われがちですが、実は600万人もの男性が更年期障害を抱えていると言われています。しかも、男性の更年期障害には終わりがなく、放っておくと悪化するばかりだそうですが、どのような病気で、どのような人がなりやすく、どんな対策や治療があるのでしょうか。順天堂大学医学部附属順天堂医院でメンズヘルス外来を行う堀江重郎先生に教えていただきました。

(ライター:橋口佐紀子)

堀江重郎(ほりえ・しげお)先生 順天堂大学医学部泌尿器科学講座・泌尿器外科学 教授

堀江重郎(ほりえ・しげお)先生

順天堂大学大学院医学研究科泌尿器外科学 教授

東京大学医学部卒業後、米国テキサス州で医師免許取得。Parkland Memorial Hospital, Methodist Hospitalで腎移植、泌尿器科臨床に従事。その後、国立がんセンター中央病院スタッフ、東京大学医学部 講師、杏林大学医学部 助教授、帝京大学医学部(泌尿器科学) 主任教授などを経て、2012年より現職。

男性更年期障害に多い4つの症状

堀江重郎(ほりえ・しげお)先生

「定年を迎えて最初は自由な時間を過ごしていたが、次第に外出する気力を失い、趣味のゴルフにも行かなくなってしまった。いつもイライラして、夕方になると漠然とした不安感に襲われる。体重も3、4kg増え、運動していないのに筋肉痛になるし、トイレも近くなった」。このような症状を訴える患者さんが数多く堀江先生のもとを訪れるそうですが、まさに典型的な男性更年期障害のパターンだと、堀江先生は指摘します。

男性更年期症状

精神症状
  • 健康感の減少
  • 不安
  • いらいら
  • うつ
  • 不眠
  • 集中力の低下
  • 記憶力の低下
  • 性欲の減少
身体症状
  • 筋力低下、筋肉痛
  • 疲労感
  • ほてり、発汗
  • 頭痛、めまい、耳鳴り
  • 性機能低下
  • 頻尿
  • Morning erectionの消失

「男性更年期障害の代表的な症状は、①体調不良、②意欲の低下、③性欲の低下、④睡眠障害です。このような症状が起きる原因に、男性ホルモンの急激な低下があります。男性ホルモンの値は20代をピークに、40歳を過ぎると減りやすいのですが、個人差がとても大きく、急激に低下すると前述のような症状を引き起こします。医学的には、『LOH症候群(加齢男性性腺機能低下症候群)』と呼ばれています」

50歳以上のうつ病の70%は「テストステロンの低下」が原因

テストステロンの働き

男性更年期障害に深くかかわっているのが男性ホルモンの代表格「テストステロン」です。

「テストステロンは、ゼロになっても死にません。ただ、筋肉や骨を強くする、性機能を正常に保つ、血管を若々しく保つ、脂質の代謝を促すなど、全身に影響を与えています。また、自分を社会の中で表現するのに必要なホルモンでもあり、テストステロンが少なくなると、他者との交流にストレスを感じ、うつ症状を起こしやすいのです。50歳以上のうつ病の人の約70%は、テストステロンが低下しているとも言われています」

このようにテストステロンは多岐にわたる働きをもつため、急激な減少が心身にさまざまな影響を及ぼすのです。さらには、遺伝子に傷がつくのを防ぐ働き*1,2もあるそうです。

「老化とは、遺伝子に傷がつくこと。ですから、テストステロン値が高い人のほうが加齢の影響を受けにくく、老化しにくいのです。現時点で「遺伝子に傷がつくのを防ぐ方法」としてエビデンスがあるのは、「適度な運動」「食べ過ぎないこと」「テストステロン」しかありません」

では、テストステロン値が下がる要因はどこにあるのでしょうか。以前は、加齢とともに下がると考えられていましたが、最近になってそうではないことがわかってきました。堀江先生によれば、テストステロンの減り方は個人差が大きく、80代でも30代男性の平均値の人もいれば、その逆もあるそうです。

テストステロン値が下がる原因はストレスです。精神的なストレスだけではなく、身体的なストレス、睡眠不足も原因となります。また最近注目されているのが、“運動のしすぎ”です。たとえば、ジョギングが趣味で、月に200kmくらい走っているという人がたまにいますよね。そういう人に限って、『毎日走っているのに、眠れない』と訴えます。これこそ、まさにテストステロン不足。ハッキリとした原因はまだわかっていませんが、過度に筋肉を使い過ぎると、テストステロンが減ることがわかっています」

男性の更年期には終わりがない

女性の場合、「エストロゲン」という女性ホルモンが急激に減少する閉経前後の5年ずつ、計10年間を「更年期」と呼び、その時期を過ぎれば不快な症状も自然に収まります。ところが、男性の更年期障害は一過性ではありません。

「男性の更年期障害の場合、テストステロン値の低下を放置していると、だんだん社会で活躍できなくなって、最終的には命にかかわることもあります。

もうひとつ、女性の更年期障害との大きな違いがあります。それは、『誰にでも必ず起きるものではない』こと。女性の場合、初潮も閉経も閉経後にホルモンバランスが変化して更年期障害が起こることも、すべてDNAに基づいています。ですから、一人の例外もなく閉経を迎え、大なり小なりの更年期障害を経験し、その後、閉経後の人生へとスムーズに移行することができるのです。一方、男性は、生殖年齢がDNAによって限定されているわけではありません。逆に言えば、“生殖をしないオス”は想定されていないのです。ところが、ほとんどの男性はいつしか生殖活動をしなくなりますよね。さらに昔と比べてストレスも多い状況で、いかに男性ホルモンを保つかが問題になっています」

加齢と性ホルモンの変化

現在、60代の20%、70代の30%、80代以上の50%が、LOH症候群だと推定*3されています。
その一方で、男性更年期障害に対策や治療があるということはあまり認知されておらず、体の不調を感じながらも、そのまま放置している人がほとんどのようです。

自覚症状が出るほどテストステロン値が下がっている人は、600万人いると言われていますが、このうち、実際に医療機関にかかっている人はおそらく1~2%でしょう」

男性更年期障害の治療とは?

では、順天堂医院のメンズヘルス外来における男性更年期障害の治療は、どのような流れで進むのでしょうか。

「初診では、問診表から『どのような症状が、どの程度あるのか』を明らかにするとともに、血液検査で『総テストステロン値』などを調べます。その結果、症状が重い、またはテストステロン値が大幅に低い場合は、2週間に1度を目安に、注射剤でテストステロンを補充する『テストステロン補充療法』を行います。

75歳以上の高齢者の場合も、テストステロン補充療法を行うことが多いですね。高齢になると自力で作る量が少なくなるので、外から補充することが有効なのです。先日も、93歳の今も現役で仕事をされている男性が『体がしんどい』と来院されたのですが、2週間ごとのテストステロン補充療法を行ったところ、筋肉がついて、非常に元気になられました。筋肉量が低下して『体を起こしているのがしんどい』とおっしゃっていた80代の方が、テストステロン補充療法によって散歩できるようになったこともあります。これは、介護を減らすことにもつながります。テストステロンは、高齢者を元気にする“抗介護ホルモン”ともいえるのです」

テストステロンの低下を防ぐために摂るべき「栄養素」とは?

堀江重郎(ほりえ・しげお)先生

テストステロン補充療法は全員に行うわけでなく、同院では約30%の患者さんに行っているとのこと。それ以外には、「補中益気湯」などの漢方薬でテストステロンの産生能力を高める、あるいはED(勃起不全)が主訴の場合は勃起補助薬を使うことも。また、テストステロンを低下させないために、摂った方が良い栄養素もあるそうです。

「亜鉛が不足していると、ストレスとは無関係にテストステロン値が下がります。そのため、亜鉛を補充することも実はとても重要です。サプリメントもありますが、食事などによる亜鉛摂取で効果が期待できない場合は、保険適用されるお薬もあります」

糖質制限はテストステロンを下げ、タバコは上げる!?

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