骨粗しょう症の病態解明の鍵となる新分子機能を特定

[ニュース・トピックス] 2014年3月10日 [月]

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骨量減少の原因となる遺伝子の特定に成功

(この画像はイメージです)

 歩行困難や寝たきりといった要介護状態のきっかけとなる骨粗しょう症は、推定患者数1200万人以上とされ、日本人の新国民病ともいわれる病気です。欧米諸国では、薬物治療の導入により骨粗しょう症患者は年々減少してきていますが、日本での患者数は増加を続けており、生存期間を短くする大腿骨頸部骨折の主な原因となっています。
 しかし、重大な病気でありながら、これまで、加齢による骨量減少がどのようなメカニズムで骨粗しょう症を引き起こすのかは、多くの部分が未解明のままでした。
 そのしくみを明らかにするために、東京医科歯科大学 難治疾患研究所・分子薬理学分野の野田政樹教授、江面陽一准教授、同大大学院 顎顔面矯正学分野の森山啓司教授の研究グループは、沖縄科学技術大学院大学の山本雅教授グループとの共同研究を実施。加齢に基づく骨粗しょう症の病態に、重要な役割を果たす遺伝子の特定に成功しました。

マウス実験で骨粗しょう症の進行を抑制する「Cnot3」を発見

 この研究では、メッセンジャーRNA(mRNA)の分解を促進する分子の1つとされている「Cnot3」に着目し、骨量減少のメカニズムにCnot3が関与しているのかを調査しました。遺伝子操作を行いCnot3を欠損させたマウスと、同じ月齢の無操作のマウスと比較したところ、Cnot3欠損マウスは骨量が著しく低下していたことが確認できました。さらに、Cnot3の量が減少するのに伴い、骨を壊す働きをする「破骨細胞」が増加することも確認されました。
 以上のことから、Cnot3は加齢に基づく骨量減少を抑止する機能を持つことが立証されたのです。またCnot3の存在により、加齢後の骨量維持にも効果があることが示されています。
 Cnot3のコントロールが可能になれば、骨粗しょう症の有効な治療となることでしょう。また、加齢後の骨量維持にも効果があるというのは、とくに高齢の患者さんにとって嬉しい知らせといえます。新しい薬剤や治療法の開発に期待したいですね。(そねゆうこ)

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