国際骨粗しょう症財団が最新レポートを発表 アジアで股関節骨折の増加を警告

[ニュース・トピックス] 2014年1月30日 [木]

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2050年には世界の股関節骨折数の半数がアジアで発生と予測

(この画像はイメージです)

 国際骨粗しょう症財団(IOF)は「アジア太平洋地域で、骨粗しょう症に起因する骨折の大幅な増加が懸念されている」との最新レポートを発表しました。
 骨粗しょう症による骨折の中でもとくに注意したいのが、歩行困難により要介護状態を招く危険性のある股関節骨折です。股関節骨折は70歳以上に多いとされ、症状が重篤な上に医療費も高額なため、身体的にも経済的にも大きな負担となる深刻な怪我です。
 股関節骨折の1つである大腿骨頸部骨折の発生率は2050年までに、アジア圏のいずれの国においても少なくとも2倍になると予想されています。さらに、大腿骨頸部骨折が発生しやすくなる高齢者の人口は、70歳以上で230%、50歳以上でも144%増加するといわれています。世界で最多の人口を抱える中国とインドでは、50歳以上の人口はほぼ倍増し、約4.3億人が70歳以上になると算出されており、2050年までに世界の股関節骨折件数の50%がアジアで発生するだろうと予想されています。

経済格差によって異なる骨粗しょう症による骨折の問題点

 アジア太平洋地域の都市部では、経済成長に伴う屋内型ライフスタイルの浸透が運動不足に拍車をかけ、かつ日常的なビタミンD欠乏症と相まって骨と筋肉の健康な発育を損ない、高い骨折率の原因となっています。
 一方、発展途上地域では、外科治療が利用できない、もしくは費用補償が受けられない場合があり、医療技術や費用工面などの要因から適切な治療を受けることができないといった問題も発生しています。
 実際に、ベトナム・スリランカ・フィリピン・パキスタンなどでは、股関節骨折に外科的治療が施されるのは50%以下だとの報告がされています。股関節骨折は、骨粗しょう症による骨折の中でも治療費が高額なため、手術を自費で支払えない患者は骨折しても手術を選択せず、重度の障害と貧困に直面している可能性があるのです。
 歩行困難・早期死亡の要因となりかねない骨粗しょう症による骨折は、来る世界的な超高齢社会を前に、避けては通れない重要な課題だといえます。まずは、私達一人一人が骨粗しょう症に対する意識を高め、生活改善に努めることが大切です。また、日本だけではなくアジア全域の政府が連携して予防と治療のために尽力し、研究推進や治療費補償・啓発活動を広い視野で行うことが必要ではないでしょうか。(そねゆうこ)

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