腰痛の人の職場復帰を有利にする条件とは

[ニュース・トピックス] 2013年8月21日 [水]

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「痛み以外の悩み」の解決が職場復帰のカギに

(この画像はイメージです)

 腰痛を抱えると、悩みの種は痛みだけには留まりません。仕事のこと、家庭のこと、日常生活の様々な場面で制限を受けたり、工夫が必要になってきます。そこで、ダースフィールド大学の研究チームは、腰痛患者さんの職場復帰における「痛み以外の悩み」に注目しました。
 調査では、腰痛患者が仕事に復帰するまでの過程を追跡しました。その結果、協力してくれる第三者の存在がとても重要であるという結論に達しました。
 

心理学博士のジョアンナ・ブルックス氏らは、腰痛患者にインタビューを実施。インタビュー対象には、仕事に復帰した人もいれば、復帰を願いながらも断念した人たちもいます。同時に、腰痛患者の家族にもインタビューを行い、問題をどのように捉えているか、どのように対処したかなどを明らかにしました。すると、患者自身の仕事の種類や職場の状況、家族の関係が仕事復帰に影響を及ぼすことが分かりました。

家族の支援や職場環境が職場復帰できるかどうかに影響

 職場復帰した人たちの家族は、それぞれが安定した職に就いているケースが多くみられました。家族が腰痛について良く理解しており、腰痛の人を職場まで快適に車で送っていったり、家事労働を分担したりといった協力体制が見られる一方で、それぞれが安定した職に就いているため、腰痛を抱える人がある程度長期に休養を要したとしても、経済的に問題となることがない、といったことが背景にあると思われます。
 また、職場環境も重要でした。仕事に復帰した人たちでは、専門家や社会的な地位の高い人などが多く見られました。これは、自分の痛みに併せて、仕事の体制や場所、時間などを比較的自由に調節できることが背景にありそうです。


 一方で、専門家ではない人や社会的な地位の高くない腰痛患者が新たな仕事を見つけたり、痛みを緩和できる職種に配置換えしてもらったりすることは、現実的にはとても難しいことが分かりました。例えば、スーパーの積み下ろしで採用された人が、腰痛を理由にレジ係に配置換えされるケースは非常に稀なことです。
 これらの結果から、「経過や拘束時間ではなく、結果が重要視される仕事に就いていること」「家族が協力体制にありつつも独立していること」「理解ある職場で働いていること」の条件が揃っている場合、仕事に復帰できる可能性が高いことが分かりました。
 

逆に、これらの条件を満たしていない場合は、職場復帰に向けて専門家のアドバイスを受けたり、何らかの制度を活用するなどのアイデアが必要になることもある、としています。腰痛の患者さんの「痛み以外の問題」を解決して、満足度の高い生活を送るためには、痛みの管理のみではなく、家族や職場の協力が必要ということがデータの上からも分かりました。(唐土ミツル)

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