関節リウマチの主な症状 後編

[関節リウマチを知る] 2015年3月31日 [火]

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日常生活の障害は4つのクラスで判定

 関節の変化に伴い、日常生活が少しずつ制限されていきます。関節症状と並んで、「日常の動作にどの程度支障がでるか」も治療方針やリハビリの目標設定の際の重要な指標となります。

 日常生活の障害は、4段階のクラスで判定します。クラス1では、健康な人とほぼ同じく、とくに不自由なく日常生活をこなすことができます。しかし、クラスが進むと、困難なことが増えてきます。

 日常生活は障害が進まないようにするためには、薬物治療を続けることと、毎日、繰り返し適切なリハビリテーションを行うことが必要です。

関節破壊にともなう日常生活の障害の進行度
関節破壊にともなう日常生活の障害の進行度

関節以外の主な症状

 関節リウマチには、症状がそれほどでもない時期と、痛みなどがひどくつらい時期とがあります。痛みが激しい病気の活動期には、関節の痛みや腫れに加えてさまざまな症状がでてきます。

 まず挙げられるのは、疲れやすさ、食欲不振、体重減少などの全身症状です。これらは、関節リウマチの前駆(ぜんく)症状(病気と診断される前、前兆として現れる症状)や随伴症状としても現れます。

 関節で炎症が続くと、血液中で酸素を運ぶ鉄が減少し、貧血状態(赤血球や血色素量が減る状態)になることがあります。これが原因で疲れやすさやだるさが生じます。また、痛みや腫れを抑えるために消炎鎮痛剤を長期間服用して胃に負担がかかると、食欲不振になって体重が減ります。体重の減少は、長期に及ぶ炎症に伴い、アミロイドというたんぱく質が消化器官や腎臓に付着して、臓器の働きを低下させたり、栄養素が吸収されにくくなることでもおこります。

 炎症によって微熱が続くこともあります。治療に用いる、抗リウマチ薬はからだ全体の免疫機能をわざと低下させることで、自己免疫疾患である関節リウマチの進行を抑える薬です。このため、服用すると感染症にかかりやすくなり、その結果として、高熱が出ることもあります。

 この他にも、むくみやリンパ腺の腫れ、寒いときに指先の血行が低下して白くなる「レイノー現象」、また、皮膚の下にゴムのようなコリコリしたしこりのできる「皮下結節」、爪(つめ)が厚くなるといったこともおこります。目の乾きや充血、口内炎や、息切れ、からせきなど、関節リウマチと合併しやすい病気の症状にも注意が必要です。

関節の炎症の影響が全身に及ぶ
関節の炎症の影響が全身に及ぶ

監修:林 泰史 東京都リハビリテーション病院院長
1939年生まれ。1964年京都府立医科大学卒業後、東京大学整形外科に入局。東京都衛生局技監(東京都精神医学研究所所長兼任)、東京都老人医療センター院長、東京都老人総合研究所所長などを経て2006年より現職。
著書は「老いない技術」(祥伝社)、「骨の健康学」(岩波書店)など多数。

(スーパー図解 関節リウマチ 平成25年9月26日初版発行)

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