関節リウマチと骨粗しょう症

[関節リウマチと生活] 2015年10月20日 [火]

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女性は閉経後、男性は高齢期の骨密度低下に注意

 健康な骨では、“破骨(はこつ)細胞”が古くなった骨を壊して吸収し、その分を“骨芽(こつが)細胞”が新しい骨を作り出して補うといった新陳代謝が行われています。このバランスが崩れて破骨細胞の働きが優るようになると、骨がスカスカになり骨密度が下がって骨折しやすくなります。それが「骨粗しょう症」です。

 関節リウマチと骨粗しょう症には密接な関係があります。すなわち、炎症が強いと、滑膜周辺でサイトカインが盛んに放出され、破骨細胞が活発になって骨を破壊します。ですから、薬物療法などによって炎症を抑えないと、関節周辺で骨粗しょう症が進んでしまうのです。

 また、関節リウマチの患者さんは、他の原因でも全身の骨密度が低下します。原因の一つは、ステロイド薬の副作用です。ステロイド薬を長期間(3カ月以上)服用すると、骨密度が低下することが知られており、予防のために骨の合成を助ける薬が処方されます。また、痛みやこわばりが理由で運動量が極端に減ることも骨密度低下につながります。カルシウムやマグネシウム、骨形成を助けるビタミンDなどを十分摂取しても、運動して骨に刺激を与えないと骨は形成されません。こうした意味でも、関節リウマチの患者さんにとってリハビリや運動習慣は重要なのです。

 関節リウマチ発症のピークは30〜50代ですが、女性では、閉経後の骨密度減少時期にも重なる人もいます。男性も65歳頃から骨密度が減ってきます。食生活と運動習慣を見直し、骨を丈夫に保ちましょう。

関節リウマチによる骨粗しょう症
関節リウマチによる骨粗しょう症

監修:林 泰史 東京都リハビリテーション病院院長
1939年生まれ。1964年京都府立医科大学卒業後、東京大学整形外科に入局。東京都衛生局技監(東京都精神医学研究所所長兼任)、東京都老人医療センター院長、東京都老人総合研究所所長などを経て2006年より現職。
著書は「老いない技術」(祥伝社)、「骨の健康学」(岩波書店)など多数。

(スーパー図解 関節リウマチ 平成25年9月26日初版発行)

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