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[医療×エンタメ] 2019/11/12[火]

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島袋全優さん

19歳の頃に「潰瘍性大腸炎」を発症し、大腸全摘など10回にもおよぶ手術を経験してきた漫画家の島袋全優さん。潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜で広範囲に連続した炎症が起こる原因不明の病気で、難病「炎症性腸疾患(IBD)」のひとつです。主な症状は、慢性的な腹痛、下痢、血便など。症状が悪化しないように脂質をとりすぎないようにするなど、食生活に気を付けなくてはなりません。

全優さんは、潰瘍性大腸炎と向き合いながら、入院中も病院で仲良くなった人たちの似顔絵を描くなどしながら、漫画家の夢に向かって着々と経験を重ねてきました。2013年には念願の漫画家デビューを果たし、2017年より、自身を主人公に闘病生活を描いた闘病ギャグエッセイ漫画『腸よ鼻よ』の連載を開始。過酷な闘病生活が描かれているのに思わずクスっと笑ってしまうような、ポジティブなストーリーが話題を呼び、「次にくるマンガ大賞2019 web漫画部門」では見事、第3位を受賞しました。

なぜ、自身の闘病体験をギャグ漫画にしようと思ったのか?そして、どうしてこんなに明るくて笑えるストーリーを描けるのか?ご自身の経験から『腸よ鼻よ』の連載秘話まで、全優さんにお話を伺いました。

――潰瘍性大腸炎を発症し、診断を受けるまでの経緯を教えてください。

私は、沖縄で専門学校に通っていた2011年頃に潰瘍性大腸炎を発症しました。最初の症状は、下血と食欲不振でしたね。3月11日に東日本大震災が発生して、その1週間後に症状が現れ始めたので、とても印象に残っています。東日本大震災のショックもあったかもしれませんし、その頃さまざまなストレスを抱えていたこともあり、徐々に体調が悪化して入院することになりました。最初の病院では「単なる腸炎」と診断を受けたため、適切な治療を受けられず…潰瘍性大腸炎と診断を受けた後も症状の悪化が続き、結果的に中等症くらいから重症になってしまいました。本能的に「ここにいたら死ぬ!」と思って、セカンドオピニオンを受けることを決意(笑)。転院して適切な治療を受けられたことは、本当に良かったです。

これまでに、大腸を全摘するための手術や、便や尿の排泄の出口としてお腹に新しくつくる人工肛門(ストーマ)の手術など、合計10回ほど手術を経験しました。今は、一時的にストーマをつけている状態です。

――入院中の印象的な出来事はありますか?

入院中に仲良くなった人が、亡くなってしまったことです。身近な人の死を経験したことで、自分は亡くなった人の分まで「生きているうちに好きなことやろう!」と強く決意しました。そのことが、今の漫画家としての活動にも生きていると感じています。

――漫画『腸よ鼻よ』を描こうと思ったきっかけについて教えてください。

担当編集さんから、「闘病エッセイギャグ漫画を描きませんか?」と声をかけてもらったことがきっかけです。声をかけていただいたときは体調が優れず、すぐに執筆活動には入れなかったのですが、三重の病院に通院するようになってからは体調が良くなり、無事に執筆活動を開始しました。

『腸よ鼻よ』は、私の実体験をもとに、主人公の島袋全優が潰瘍性大腸炎と診断を受けて闘病生活を送りながら、漫画家になる夢を叶えるギャグ漫画です。漫画のキャラクターを考えるときには、「自分そっくりな主人公は嫌だな…」と思って、思いっきり美少女にしたんですよ(笑)。自分の家族や友人のイラストは、本人が見たら「これ自分だな!」とわかるみたいです。特に、兄のキャラクターは顔もそっくりなので、ぜひ注目してください。(笑)

――漫画家になって良かったと思うのは、どんなときですか?

私はギャグ漫画家なので、自分の作品を「面白い」と言ってもらえたときが、本当に嬉しいですね。だから、これからもギャグ漫画をつくり続けると思いますし、ギャグ漫画でなくても、ギャグを入れてしまうと思いますよ(笑)。

あとは、同じIBD患者さんから「勇気をもらった」と言ってもらえたときは、漫画家をやっていて良かったと、心から思いました。患者さんの中には、病気になったことにショックを受けて、落ち込んでしまう方もいると思うんです…。もし、そんな風に落ち込んでいる患者さんがいたら、私の漫画を読んでいっぱい笑ってほしいです!

――「次にくるマンガ大賞2019 web漫画部門」3位受賞が決まったときは、どんな気持ちでしたか?

本当にビックリしました!担当編集さんから、ものすごいテンションの電話がかかってきたんですよ。「先生、3位になりましたよ!」と聞いたときのことは、今でも忘れられません。ダークホースにも程があると思いましたし、急に知らないヤツが来たってみんな思うんじゃないかと…(笑)。

――潰瘍性大腸炎になって、変わったことはありますか?

以前は、ついつい頑張り過ぎてしまうことがあったのですが、今は「絶対に無理しない」ということを心掛けています。体調の異変を感じたら、自分で自分にストップをかけることが大切だと思いますね。

それから、自分が気付かぬうちに無理をしないよう、周りで見守ってくれる人たちの存在も大きいです。自分にとっては、それが家族でした。家族には、とても感謝しています。

――もし自分の身近な人が病気を患ったら、どんな風に接したら良いでしょうか?

患者さんに対して、ぜひ「頑張っているんだね」と声をかけてあげて欲しいですね。「頑張って」ではなくて、「頑張っているんだね」と、患者さんの頑張りを認めることが大切なんじゃないかな、と私は思います。

それから、患者さんには「かわいそうだね」とは絶対に言わないでくださいね。きっと、他の人から言われているだろうし、傷つくと思うので。迷ったら、そっと寄り添ってくれるだけで嬉しいと思いますよ。

――最後に、QLife読者の皆さんへのメッセージをお願い致します。

2019年11月29日に、『腸よ鼻よ』単行本第二巻が発売されます!笑える闘病エッセイなので、ぜひ読んでいただきたいですね。闘病生活だけでなく、私の漫画家になるまでのエピソードも描かれているので、患者さんはもちろん、漫画家に興味がある人にもおススメです!

病気にはなりましたけど、「絶対に漫画家になる!」と決意してこれまで頑張ってきたので、単行本を発売できたことは本当に嬉しいです。病気かどうかは関係なくて、「絶対に夢を叶えるぞ!」という強い気持ちを持って頑張ってきたことは大きいと思っています。『腸よ鼻よ』を通じて、そんな私の思いも、読者の皆さんに伝わったら嬉しいです。

編集後記
全優さんは、とても気さくで明るい漫画家さんでした!闘病中の過酷なエピソードも、大変さを感じさせない明るさでお話ししてくださった全優さん。取材中は、終始笑いが絶えず、QLife編集部も楽しい時間を共有させていただきました。周りの人を自然と笑顔にさせるのも、全優さんの素敵な部分のひとつだなと感じています。


白塗りメイク完成までの一部始終を見せてくださった全優さん

また、トレードマークの“白塗りメイク”についても、すっぴんから完成するまでの一部始終を目の前で見せてくださるなど、サービス精神旺盛な一面も。「次にくるマンガ大賞2019 web漫画部門」の授賞式に参加したときも、真っ先に「白塗りOKですか?」と確認したそうです(笑)。ご自身の見た目にも笑いを追求するその姿勢からは、プロのギャグ漫画家としてのプライドが垣間見えました。

病気を患っている人も、そうでない人も、生きていると嫌なことの一つや二つ、きっとあるのではないでしょうか。『腸よ鼻よ』は闘病ギャグエッセイ漫画であると同時に、どんなことがあっても笑って生きてくための“勇気”をもらえるような漫画です。患者さんに関わらず、興味を持たれた方は、この機会にぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか?(QLife編集部)

【島袋全優さんプロフィール】

1991年8月生まれ、沖縄県出身。漫画家を目指し専門学校在学中に潰瘍性大腸炎を発症。入退院を繰り返しながら、2013年に『蛙のおっさん』でマンガ家デビュー。2017年よりマンガアプリ「GANMA!」で連載中の、闘病体験をつづったギャグ漫画『腸よ鼻よ』が注目を集め、「次にくるマンガ大賞 2019 web漫画部門」で第3位受賞。

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