[これからの花粉症治療] 2014/03/18[火]

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約80%の患者さんがくしゃみ、鼻水、鼻づまりの3症状が同時に出現

 本格的な春の花粉のシーズンに入り、長年花粉症に悩まされている人はもちろんのこと、今年に入ってから鼻がムズムズしたり、眼がかゆくなったりと「もしかしたら花粉症かも…?」と感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
 「花粉症の主な症状は、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、眼のかゆみなどですが、花粉飛散のピーク時はどれか一つの症状が強くでるのではなく、全ての症状が強くでる症例が多いことがわかっています。そのため、集中力が低下したり、睡眠が浅くなるなど患者さんのQOLが非常に下がります。特にこの時期は最も飛散量も多く、仕事や家事などが思うようにはかどらずに悩まれている方も少なくありません」と名古屋市立大学病院・耳鼻咽喉科准教授の鈴木元彦先生。先生によれば花粉飛散のピーク時にはおおよそ80%の患者さんにおいて、くしゃみ、鼻水、鼻詰まりの3つの症状が同時に出現。花粉症の患者さんにとってもその対策は急務となっています。

花粉症症状の発症頻度

2008年のスギ花粉飛散期に医療機関を受診したスギ花粉症患者8599名の受診時の症状

患者さんが求めるお薬とは?

 現在、花粉症治療はお薬を服用する薬物治療が主流です。
 「花粉症に用いるお薬には、第一世代抗ヒスタミン薬、第二世代抗ヒスタミン薬、ロイコトリエン拮抗薬、鼻噴霧ステロイド薬、点鼻用血管収縮剤などの種類がありますが、それぞれ一長一短あり、中等症以上の症状を抑えるには二つ以上の薬剤を組み合わせて使う必要があります」(鈴木先生)
 そのため、くしゃみと鼻水は抑えられているのに鼻づまりだけが続く、あるいは強い症状を抑えるためにはどうしても眠気が出てしまうなど、ひとつの薬剤では全ての症状をカバーできず、QOLが改善しない例もあると言います。
 花粉症の患者さんを対象にしたサノフィ株式会社の調査では、お薬への要望として、「効果の強さ」に加え「眠くならないこと」が挙げられており、7割以上の患者さんがもしそのようなお薬があれば「今服用しているお薬に替えて試してみたい」と回答しています。
 「患者さんが求める効果の強さの中には、“服用してからどれだけ早く効くか”ということも重要です。どんなに効果が良くても、症状が改善するのに長い日数がかかると、患者さんの満足度は下がりますね。また、病院で処方されるお薬でも症状を抑えることができない=効かないと判断して、病院を受診するのを中止し、市販薬を用いる患者さんもいらっしゃいますが、市販の点鼻薬は、「薬剤性鼻炎」という、より症状を悪化させる可能性もあり、使用には注意が必要です」(鈴木先生)

一長一短あったこれまでの治療薬。主流の第二世代抗ヒスタミン薬にも苦手分野

 花粉症における薬物治療の主流は抗ヒスタミン薬と呼ばれるもので、市販薬でも多く普及しています。しかしこの抗ヒスタミン薬にも苦手分野があると先生は言います。
 「抗ヒスタミン薬は第一世代と第二世代とがありますが、第一世代はより眠気が強くでるお薬です。しかし眠気は出るけれども、夜は深い睡眠が取れないことを示唆した報告もあり、患者さんのQOLに影響のあるお薬です。一方、第二世代は第一世代に比べて眠気も出にくいと言われており、くしゃみや鼻水には非常に効果がありますが鼻づまりを改善する効果が弱いために鼻噴霧ステロイドなどを併用する必要があります」(鈴木先生)
 ある調査データによると、日本人はあまり点鼻を好まないため処方されても使用せずに放置してしまう人も少なくないと言います。その結果、お薬を服用していても、ピーク時に鼻づまりの症状だけが残り、夜眠れない、頭がぼーっとするなどの症状が続くこともあるのです。

※インタビュー内容をもとにQLife編集部にて作成

新規配合剤も登場し、お薬の選択肢が拡大

 こうした困った花粉症の症状に関して、昨年からくしゃみや鼻水を抑える抗ヒスタミン薬と鼻づまりに対して作用するお薬がひとつになった配合剤が登場。花粉症の症状を経口薬ひとつでカバーできると期待が持たれています。
 「これは最も多くの花粉症患者さんから支持を受ける第2世代抗ヒスタミン薬であるアレグラに、鼻づまりを改善させるプソイドエフェドリンという成分を配合したお薬です。このプソイドエフェドリンはエフェドリンよりも副作用が少ないと言われています。これら二つの有効成分により、花粉症の3大症状の改善が期待できるお薬です」(鈴木先生)
 またこの新規配合剤は、即効性もあるため、中等症~重症の患者さんに対しても効果が見られると言います。
 「単剤で使うことでも効果は見られますが、重症患者さんには鼻噴霧ステロイド薬などと合わせて使用するとより効果的です。花粉症の改善にはまず患者さんご自身が効果を実感できることが何よりも大事です。これからの季節花粉症の症状もより重くなってきます。症状を重症化させないためにもまずは専門医を受診し、ご自身にあった治療法を医師と相談してみてはいかがでしょうか」(鈴木先生)

鈴木元彦(すずき・もとひこ)先生 名古屋市立大学病院・耳鼻咽喉科 准教授

1991年 名古屋市立大学 医学部 卒業
1996年 名古屋市立大学 大学院 医学研究科 修了
日本アレルギー学会、日本耳鼻咽喉科学会、日本鼻科学会、日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会、日本気管食道学会。

これからの花粉症治療 記事一覧

  1. そのお薬は、あなたの症状を“全部”抑えることができていますか?
  2. 花粉症治療薬、患者さんが求めるのは「眠くならない」+「効果が強い」

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