関節リウマチと診断されたら・・・

[関節リウマチと生活] 2015年9月15日 [火]

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ストレスを避けながらも、「安静」にこだわり過ぎない

 関節リウマチと診断されると、深刻に受け止めるあまり「安静にしなくては」と思い込んでしまう人がいます。もちろん、関節を保護するには「安静」が重要ですが、安静にし過ぎるのも逆効果。大切なのは“安静にする時期”と、無理のない範囲で“活発に過ごす時期”を見極めることです。

 「関節リウマチかな?と思ったら・・・」でも述べたように、関節リウマチの症状は、病気の活動が活発な時期(炎症が激しく痛みや腫れがつらい時期)と、病気の活動が比較的弱く炎症の治まっている時期といった波があります。「安静」にするのは、炎症の激しい時期です。ストレスがかかると炎症は悪化するようですから、この時期に第一にすべきことは、ふだんの生活を見直して心とからだの休養を十分に確保することです。寝不足や一晩眠っても疲れがとれないような忙しい生活を続けていると、治療効果も上がりません。日中も、「疲れたな」と思ったときに短時間でも横になると、関節を休ませることができます。

 しかし、「安静にすべき時期だから」とじっとしていると、関節の機能が衰え、関節周辺の筋肉も萎縮が進みます。そこで、この時期に重要な第二のポイントは、できる範囲でのリハビリテーションを続けることです。安静時向けの体操もありますので、医師や理学療法士に相談して、自分の状態に合った体操の方法や回数を教えてもらいましょう。薬が効いて炎症が治まっているときは、関節に負担をかける姿勢や動作を避けながら、なるべくふだんどおりに過ごします。

「安静」と「ふだんどおり」、バランスを見極めて
「安静」と「ふだんどおり」、バランスを見極めて

食事制限はないが、サプリメントを摂るときは医師に相談

 病気によっては、厳しい食事制限が療養生活の中心になることがあります。しかし、関節リウマチの患者さんは、基本的に何を食べてもよいことになっています。ただし、食べたり食べなかったり、あるいは脂っぽいものばかりを食べるなどの“偏った食生活”はよくありません。とくに、肥満している人は、からだの重さがそのまま関節への負担になりますので、減量を心がけましょう。

 ただし、急に食べる量を減らすのは、ストレスが増します。「バランスよい食事って何?」と思った人は、厚生労働省と農林水産省が推奨している「食事バランスガイド」などを参考にするとよいでしょう。実際に自分で作らなくても、組み合わせを見てみるだけで、バランスのよい食事がわかるので、それらを真似して、野菜や豆類をしっかり摂り、油脂やご飯、パン、麺類を控えた食事に切り替えることから始めましょう。

 食事で副作用を予防することもできます。関節リウマチでは、炎症が激しくなると、血中の鉄分が減って貧血状態になることがあります。治療が進むと貧血も治まりますが、ふだんから鉄分の多い食品を摂るよう心がけます。また、炎症で骨が弱くなるのを補うため、骨の成分となるカルシウムやマグネシウム、骨の合成に必要なビタミンD、ビタミンKを含む食品も積極的に食事に摂り入れます。

 なお、メトトレキサートと同時にビタミンの一種、葉酸が処方されるため、葉酸をたくさん摂るのがよいと勘違いしてしまう人がいますが、過剰摂取すると薬の効きめを弱めてしまいます。また「軟骨を強くする」などと謳うサプリメントもありますが、有効性については医師に伺って下さい。

バランスのよい食事をし、鉄分、カルシウムをしっかり摂る
バランスのよい食事をし、鉄分、カルシウムをしっかり摂る

生活面やリハビリで困ったら、専門家のサポートを受けよう

 関節リウマチの治療開始当初は、薬が効き始めるのに時間がかかったり、体調の波がなかなか整わなかったりと、なにかと不安になることも多いかもしれません。例えば、リハビリをするようにと言われても、自分のやり方でよいのかどうかが心配になる場合もあるでしょう。また、生物学的製剤がよく効くことはわかっていても、高額な負担が継続することが不安で踏み切れないこともあるかもしれません。そして、これらの悩みを医師に話してよいのかどうか迷うこともあるようです。

 実は、医療機関には医師以外にも患者さんを助けてくれるスタッフがいます。昨今は“チーム医療”といって、医師を中心に多くの医療スタッフがチームを組んで患者さんをサポートするのが主流です。迷わず主治医や看護師に相談して、専門家を紹介してもらいましょう。

 運動の種類や回数などリハビリの細かい方法や、どんなときに関節を温め、どんなときに冷やすのかなど、理学療法に関しては理学療法士が教えてくれます。作業療法士は日常的な動作や生活の道具の使い方や工夫の仕方を指導します。指導に従って何回か練習すれば、関節に負担をかけずに自分のことは自分でする方法がわかってきます。また、医療ソーシャルワーカーは高額療養費制度や障害者手帳の取得など介護保険福祉制度に関する知識が豊富です。

 専門家のサポートを受ければ、療養生活がぐっと快適になります。まずは、主治医や担当の看護師、医療機関の窓口の職員、保健所や役所の保健師に相談してみましょう。

医師を中心にタッグを組むチーム医療
医師を中心にタッグを組むチーム医療

監修:林 泰史 東京都リハビリテーション病院院長
1939年生まれ。1964年京都府立医科大学卒業後、東京大学整形外科に入局。東京都衛生局技監(東京都精神医学研究所所長兼任)、東京都老人医療センター院長、東京都老人総合研究所所長などを経て2006年より現職。
著書は「老いない技術」(祥伝社)、「骨の健康学」(岩波書店)など多数。

(スーパー図解 関節リウマチ 平成25年9月26日初版発行)

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