名古屋大学医学部附属病院

専門医より推薦を受けた診療科目・診療領域

名古屋大学医学部附属病院は、複数の有名専門医(※)の間で「自分や家族がかかりたい」と推薦されています。
このページでは、専門医より推薦を受けた分野(科目、領域)の特色や症例数、所属している医師について取材・調査回答書より記載しています。 ※推薦、選定して頂いた有名専門医の一覧表

消化器外科1(腫瘍外科)

分野

消化器・一般外科

特色

食道・胃・大腸など消化管と肝胆膵の悪性腫瘍に対する外科治療を行っている。中でも手術が極めて困難とされる胆管癌や胆嚢癌の手術症例数が圧倒的に多い(特に肝門部胆管癌は世界最多)。その優れた治療成績を多数の一流英文誌に報告しており、“胆道癌外科治療の名大”として拡く世界に知られている。他の大学病院や施設で切除不能とされた患者の紹介も多く、かかる患者にも積極的に拡大手術を適応して可能な限り根治切除を行い、外科の本道である“メスの限界”を窮めるように努めている。

症例数

胆管癌=この癌の多くは黄疸で発症するため、まず内視鏡的胆道ドレナージという方法で黄疸の治療を行いながら、癌病巣の拡がりを正確に診断して手術術式を決定する。広範囲肝切除が必要な場合には、手術の2~3週間前に切除する予定の肝区域の門脈を詰める門脈枝塞栓術を行う。この手技には高度の熟練を要するが、現在までに459例と世界で最も多数の症例の経験を有する。肝門部胆管癌の手術は尾状葉切除を伴う種々の肝区域切除や肝臓と膵・十二指腸を同時に切除する肝膵十二指腸切除を行う。また、門脈や動脈に浸潤している症例にも積極的に切除を適用している。現在までの肝門部胆管癌切除数は468例、肝切除に加え門脈の合併切除・再建を行った症例は154例、肝切除に加え膵十二指腸を合併切除した症例は61例で、いずれも世界最多である。09年には肝門部胆管癌44例を切除。切除例の5年生存率は30%

胆嚢癌=進行癌に対しては、その進展範囲によって肝切除や膵・十二指腸切除などの大きな手術を積極的に行っている。これまでの胆嚢癌切除例は232例で、うち85%以上がStageIII以上の進行胆嚢癌。胆嚢癌が胆管に浸潤し閉塞性黄疸を来たしているような超進行癌(StageIV)では、5年生存例のある施設は世界でも極めて稀であるが、当科では12例の5年生存を得ている

肝細胞癌・転移性肝癌=肝細胞癌や転移性肝癌に対する肝切除術は胆道癌に対するそれよりも遥かに容易であり、一般病院でも広く行われている。従って、手術数は両者合わせて年間20例前後と多くはないが、主に一般病院では手術が困難とされる症例の紹介を受けて手術を行っている

膵臓癌=当科が主導して行った厚生労働省癌研究助成金による班研究の結果、リンパ節と神経叢を広範囲に郭清する“拡大手術”の意義がないことが明らかになったので、現在は郭清を最小限に留める“標準手術”を行っている。これまでの膵臓癌切除例は252例で、年間では15~20例。一般に予後不良とされる浸潤性膵管癌切除例の5年生存率は膵頭部癌で13%、膵体尾部癌で21%

食道癌=胸部食道癌に対し3領域リンパ節郭清を伴う切除を標準術式とし、他臓器浸潤を伴った高度進行食道癌に対する術前化学放射線療法後の根治切除やStage I症例に対する胸腔鏡下食道切除術、腹腔鏡補助下胃管作成術も積極的に行っている。外科治療だけでなく進行度や全身状態も考慮し根治的放射線化学療法も当科で行っている。食道癌切除例数は現在までに約360例、年間手術数は約25例、最近2年の在院死亡率は2%

大腸癌=大腸癌年間手術症例は約140例。結腸癌、早期直腸癌に対しては主に腹腔鏡手術を行っている。直腸癌に対しては、排尿・性機能温存や肛門温存などの究極の機能温存術式から骨盤内臓全摘などの拡大手術まで、癌の進行度に応じた必要十分な治療を選択し行っている。また、侵襲の大きな手術のため一般施設ではあまり行われないが、骨盤内局所再発や多発肝転移や肺転移に対しても抗癌剤治療を交えた積極的な外科治療で根治を目指している。

医療設備

64列MDCT、MRI、DSA、リニアック、胆道鏡、腹腔鏡下手術機器、超音波内視鏡。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 ○
  • 主治医指名 ○
  • 執刀医指名 ○

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東海版」(ライフ企画 2011年4月)

消化器外科2

分野

消化器・一般外科

特色

旧第2外科が消化器外科2の診療科を担当し、すべての消化器疾患に対応できる外科治療体系を構成している。一般病院では困難とされる膵癌・肝癌・食道癌の外科治療や進行消化器癌治療も積極的に行っており、本邦でも有数な施設となっている。症例各病期に応じた拡大手術から機能温存手術、腹腔鏡を用いた低侵襲手術も施行している。癌に対する集学的治療にも取り組んでおり、抗癌剤腹腔内投与療法は高度医療として認められている。

症例数

膵癌=難治性癌である膵癌は、現在でも切除が唯一治癒する可能性がある治療法で、StageIVaまでは積極的に切除を行っている。門脈浸潤症例に対しては、門脈バイパスカテーテル法を用いて積極的根治治療を行い、安全な切除、再建を実践している。その結果、膵癌切除例は450例に達し、かつ切除率は60%以上を保っている。また門脈合併切除症例も切除例の60%以上を保っており、世界的にトップレベルの成績である。しかし積極的な外科切除によっても進行膵癌は再発例が多く、外科切除に加え放射線治療、化学療法も積極的に施行している。放射線療法ではモベトロンをいち早く導入し、手術室から移動することなく術中照射を行っており、化学療法は外来化学療法部と連携しQOL(生活の質)を重視しつつ、外来にて継続し予後改善に努めている。また切除不能膵癌に対しては、ヘルペスウイルスHF10を用いた新しい癌治療の治験を計画している

肝癌=肝切除症例は年間約50例。肝切除は残存予定肝の容積をCTから計測し、これに肝機能を加味した計算式から切除の可否を検討し、術後肝不全が起こらないような術式を選択している。肝不全危険群に対しては門脈塞栓術を行うことにより、安全域を高め切除を行っている。また肝細胞癌は外科切除以外にも有効な治療法のある癌で、癌の状態、肝機能を十分評価し肝切除、ラジオ波焼灼術、肝動脈塞栓術、肝移植など最適な治療を選択している。肝癌治療では超音波検査は切除範囲の決定や、ラジオ波焼灼術における穿刺モニターなどに用いられるが、最新の診断装置を用い3次元超音波、造影超音波法などを応用し安全、確実な診断および手技を目指している

食道癌=食道癌手術症例は年間50例前後であり、悪条件下の手術にも積極的に向き合い、東海圏での食道癌診療のhigh volume centerとしての一翼を担っている。術後の痛みを軽減し、手術の侵襲を減らす手術法や周術期管理を行い、手術当日の呼吸器離脱や2~3日目の離床が可能となり、安定した手術成績をあげている

胃癌=胃癌の手術は年間約70例、うち半数(臨床病期IA、IBの症例)が、内視鏡外科学会の技術認定を有するスタッフを中心に鏡視下で行われている。進行した症例については、規範となるにふさわしい手術に加え、最新でかつ科学的な根拠に基づいた術前補助化学療法、術後補助化学療法、化学放射線療法などを適所に組み込んだ集学的治療を提供している。また、こうした治療方針について、国内外の最新の事情に通じたスタッフが時間をかけて懇切な説明を行っている

大腸癌・炎症性腸疾患=大腸癌の年間手術数は約70例で、その約7割で腹腔鏡下手術を施行している。進行・再発大腸癌に対しては、手術・化学療法・放射線療法を組み合わせた集学的治療を積極的に行っており、化学療法に関しては抗癌剤感受性試験や遺伝子多型検査などを導入し、治療の個別化・適正使用を心がけている。炎症性腸疾患に対する外科治療も数多く手がけており、潰瘍性大腸炎の年間手術数は約20例、クローン病は約30例と、県内有数の症例数をほこるとともに、腹腔鏡下手術、小開腹手術を積極的に取り入れ、手術の低侵襲化に取り組んでいる。

医療設備

術中照射(モベトロン)、門脈血管内超音波、CT、PET-CT、腹腔鏡手術装置。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 △
  • 主治医指名 ○
  • 執刀医指名 ○

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東海版」(ライフ企画 2011年4月)

呼吸器内科

分野

呼吸器内科

特色

名古屋圏を中心とする東海地区の代表的な基幹病院であり、当地区の医学研究、教育の中心機関の一つである。肺癌、気管支喘息、びまん性肺疾患(間質性肺炎、サルコイドーシスなど)、慢性閉塞性肺疾患、呼吸器感染症など幅広い呼吸器疾患に対してトップレベルの診療を行っている。また、東海地区の関連病院も非常に多く、地域医療とのネットワークも広い。指導医5人、専門医8人。

症例数

呼吸器内科単独の年間入院患者数は約400人、外来患者数は延べ15,600人

呼吸器悪性腫瘍(肺癌、縦隔腫瘍、胸膜中皮腫など)の診断と治療=入院患者数の約65%を占める。ガイドライン、最新のエビデンス(科学的根拠)に基づいて、病期(病気の進行度)に応じた最適の治療を行っている。呼吸器外科、放射線科、外来化学療法部との合同検討会が毎週開催され、各症例の診断、治療方針決定についての検討が行われ、治療についても各部門が協力して行っている。手術後の症例に対する術後化学療法、手術不能局所進行症例に対する放射線、化学療法同時併用も積極的に行われている。化学療法については、外来化学療法部との連携のもと、外来治療が数多く行われている。また、試験的な治療としては抗癌剤の副作用に対する遺伝子多型に基づいた個別化治療(塩酸イリノテカンのみ)、関連病院との共同研究で新規抗癌剤の第1相、第2相試験が行われている。縦隔腫瘍、胸膜腫瘍(胸膜中皮腫を含む)についても上記各科との連携で集学的な治療を行っている

気管支喘息の診断・治療=当院では気道過敏性試験を週2回行っており、肺機能検査は精密検査を含め随時可能な体制となっており、正確な診断に基づく治療方針の決定が可能である。また病院薬剤部あるいは院外処方薬局との綿密な連携のもと、喘息治療の根幹である吸入治療あるいはピークフローメーターを用いた日常管理についてもきめ細かい指導が行われ、高い効果を得ている。先進的な治療としては、吸入で誘発した喀痰検査によって細い気道の炎症を評価し、これに基づく喘息治療を行い成果をあげている

びまん性肺疾患の診断と治療=間質性肺炎については病理学的診断がきわめて重要であるため、当科では積極的に気管支鏡検査(気管支肺胞洗浄検査、経気管支肺生検)および胸腔鏡下肺生検を行い、肺病理専門医と詳細な検討を行った上で、エビデンスとガイドラインに基づいて治療方針を決定している。サルコイドーシスの診断においては従来の検査に加えて超音波気管支鏡を積極的に用いた縦隔リンパ節生検を行い、より正確で確実な診断を試みている

慢性閉塞性肺疾患(COPD)=呼吸不全を呈する症例では、肺機能評価、呼吸リハビリテーション、在宅酸素療法の導入の可否評価を、システム化されたクリニカルパスに沿った短期間の入院で行っている。症例ごとに主治医、担当看護師、病棟薬剤師、理学療法士(呼吸リハビリを担当)、栄養士からなる医療チームを編成し、入院中、少なくとも2回以上の検討会を開催することで、エビデンスに沿った最高水準の医療レベルを維持しつつ、個々の患者さんに応じて最適な治療を模索している。この方式は多職種にまたがる連携医療の先進的モデルとして、院内でも大変高く評価されている

呼吸器感染症=肺炎については、主として外来診療において日本呼吸器疾患学会ガイドラインおよび米国感染症学会/胸部学会ガイドラインに基づいた治療を行っている。重症例に関しては、入院のうえ感染症専門医師との連携のもと治療にあたっている。結核については、当院には結核病棟がないため、感染性のある症例については他施設に紹介している

気管支鏡検査=当科では年間約250例の気管支鏡検査を行っているが、CT画像をもとにコンピューターシミュレーション画像を作成するバーチャルブロンコスコピーをはじめ、超音波内視鏡、極細気管支鏡、アルゴンプラズマ凝固を用いた気道内治療など、先進的な気管支鏡検査を行っている。また、検査をより楽に受けられるように、検査時における鎮静剤の投与法の研究を重ねており、実績をあげている。

医療設備

CT(高解像度CT、バーチャルブロンコスコピー含む)、MRI、DSA、RI、PET、リニアック、アルゴンプラズマ凝固装置など。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 ○
  • 主治医指名 ×
  • 執刀医指名 /

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東海版」(ライフ企画 2011年4月)

呼吸器外科

分野

呼吸器外科

特色

名古屋を始めとする東海地域における呼吸器外科の主要教育施設であり、多くの呼吸器外科専門医を輩出している。原発性肺癌、転移性肺腫瘍、縦隔腫瘍など、胸部の腫瘍性疾患を中心に、その病態に最も適した治療方法を、呼吸器外科のみならず、呼吸器内科、放射線科、外来化学療法科(臨床腫瘍科)と共同で検討し、「診療ガイドライン」に基づいた医療を行っている。また難治の局所進行癌に対しては化学療法、放射線治療などを加えた集学的治療を行い、さらに重度の合併症を有する場合の手術も他科の協力を得て行い、当地区の最終病院の役割を担っている。

症例数

年間の手術件数は約280件で、原発性肺癌150例、転移性肺腫瘍50例、縦隔腫瘍30例、その他50例など

原発性肺癌=治療は病期診断に基づいた最適な治療を選択し施行している。肺切除術も病態に応じて切除範囲とリンパ節郭清の程度を、また胸腔鏡手術も含めて切開方法も個別に検討して施行している。さらに他科と協力し、局所進行肺癌に対する隣接臓器合併切除、重症併存疾患を有した患者さんに対する外科治療も積極的に行っている。原発性肺癌切除例5年生存率:IA期80%、IB期71%、IIA期90%、IIB期32%、IIIA期30%、IIIB期42%

転移性肺腫瘍=小径少数例には胸腔鏡手術、両側多発例には両側同時あるいは二期的手術など病態に応じた手術を施行している

縦隔腫瘍=胸腺腫例では、I期~III期には手術療法±放射線治療を、進行III期~IV期には独自に開発した化学療法(CAMP療法)を含めた集学的治療を行っている。良性縦隔腫瘍、重症筋無力症での胸腺全摘術などは胸腔鏡手術を施行している

悪性胸膜中皮腫=切除可能例に対する胸膜肺全摘術を含んだ集学的治療を行うとともに、基礎的研究にも力を注いでいる。

医療設備

マルチディテクターCT、MRI、PET、核医学検査、EBUS、縦隔鏡など。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 ○
  • 主治医指名 ×
  • 執刀医指名 ×

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東海版」(ライフ企画 2011年4月)

血管外科

分野

心臓血管外科

特色

全身の動脈硬化性血管病を扱っている

★動脈瘤=胸部大動脈瘤および腹部大動脈瘤に対し、外科的手術以外に、解剖学的適応があれば積極的にステントグラフト内挿術を行っている。全身状態を考慮して、分枝再建を伴うステントグラフト内挿術も行っている

★末梢動脈疾患=積極的に血管内治療を取り入れて、その病態に適した治療を選択している。特に閉塞性動脈硬化症のうち、大動脈・腸骨動脈領域病変に対しては血管内治療を第一選択としている。鼠径靭帯以下の病変に対しても外科的バイパス術の可能性を残しつつ、リスク、短期・長期成績、患者さんの希望を総合的に判断して、外科的バイパス手術と体の負担の少ない血管内治療を選択している

★重症な下肢の虚血(壊死、壊疽など)=自家静脈を用いて下腿3分枝以下、足底動脈へのバイパス術を積極的に行い、救肢に努めている。外科的バイパス術や血管内治療による血行再建術が不可能な場合には、骨髄から採取した細胞移植療法によって血管新生療法を行っている

★下肢静脈瘤=局所麻酔による根治的手術と静脈瘤を固めてしまう硬化療法を1泊2日の入院で同時に行い、根治的で美容的にも優れ、低コストな治療を行っている

★他に頸動脈狭窄症に対する治療、および腎動脈狭窄による腎血管性高血圧に対する腎動脈ステントや、脾動脈瘤など腹部内臓動脈瘤に対する血管内治療も行っている。

症例数

当科における総治療数の推移は06年248例、07年274例、08年314例、09年368例と年々増加している。09年には腹部(腸骨)大動脈瘤を123例に行い、うちステントグラフト内挿術を73例に施行した。最近5年間の腹部大動脈瘤症例数は397例(うちステントグラフト205例)で、手術死亡率は1%以下である。胸部大動脈瘤ステントはこれまでに58例施行している。09年の閉塞性動脈硬化症に対する血行再建術は80例。

医療設備

3DCT、MRI、DSA、ステントグラフト内挿術の設備など。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 ○
  • 主治医指名 ○
  • 執刀医指名 ○

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東海版」(ライフ企画 2011年4月)

泌尿器科

分野

泌尿器科

特色

泌尿器科疾患全般に対して、安全で質の高い医療、患者さんの立場にたった温かい医療を提供することを最優先している。また、大学病院の使命として最新医療、高度先進医療、さらに一般病院では治療困難な疾患に対する治療の提供を行っている。腹腔鏡手術による低侵襲治療に取り組み、がん診療連携拠点病院として化学療法部と協力して外来化学療法を積極的に行っている。また、先端医療機器を用いた手術として、10年3月からロボット支援手術システム「ダ・ヴィンチ」を導入し、5月より前立腺癌に対するロボット支援下根治的前立腺摘除術を行っている。前立腺肥大症、尿失禁、神経因性膀胱などの排尿障害については最新の診療を行っている。また、排泄情報センターを運営し、ホームページ(http://m-haisetsu.info/)により排泄に関する情報提供を行うとともに、社会医学的な取り組みにより地域における高齢者の排泄管理向上による地域貢献に取り組んでいる。

症例数

外来患者数1日120~150人。総手術件数年間500~550件

腹腔鏡手術=現在、泌尿器科腹腔鏡手術技術認定医4人を中心に、年間120~140件の腹腔鏡手術を行っている。08年は腎癌に対する腹腔鏡下根治的腎摘除術・腎盂尿管癌に対する腹腔鏡下腎尿管摘除・膀胱部分切除術73例、前立腺癌に対する腹腔鏡下根治的前立腺摘除術36例、副腎腫瘍に対する腹腔鏡下副腎摘除術2例、腎盂尿管移行部に対する腹腔鏡下腎盂形成術4例。腹腔鏡手術では、術後の疼痛の軽減、早期離床、早期退院、早期社会復帰が得られ、患者さんの生活の質の向上、医療費の軽減に役立っている

★10年5月より前立腺癌に対するロボット「ダ・ヴィンチ」支援下根治的前立腺摘除術を行い、10月までに13例を実施、良好な成績を得ている

尿路性器癌に対する化学療法=尿路上皮癌、前立腺癌、精巣癌に対して、必要例には最新の薬による治療を行い、また外来化学療法にも積極的に取り組んでいる。進行性精巣癌に対しては、末梢血幹細胞輸血を併用した超大量化学療法を行い、根治を目指している

前立腺癌に対する密封小線源治療=限局性前立腺癌には手術治療に匹敵する成績が得られ、入院期間も2~3日と低侵襲の治療である。05年より始め、現在までに250例の治療を行っている

前立腺癌に対する強度変調放射線治療(IMRT)=癌病変にのみ高精度に、かつ高線量で放射線を照射し、周囲正常組織への影響を最小限に抑える最新の放射線治療であり、当院では08年4月より前立腺癌に対する応用を開始した

膀胱癌に対するQOLを考慮した治療=膀胱癌に対する膀胱摘除術後、腸管を利用した自排尿型代用膀胱を造り、術前と同様に尿道から排尿が可能となる方法を積極的に行っている

腎移植=生体腎移植、献腎移植を年間10~12例行い、AB型血液不適合移植など、困難例を中心に行っている。また、ドナーの腎摘出術は、侵襲軽減の目的で腹腔鏡下ドナー腎摘出術を行っている

女性腹圧性尿失禁=バイオフィードバックを用いた骨盤底筋訓練、TVTスリング手術を行っている

骨盤臓器脱=膀胱脱を中心として、積極的な外科的治療を行っている

尿路結石に対する低侵襲治療=体外衝撃波結石破砕術は、基本的には外来治療として行っているが、体外衝撃波装置で治療困難な場合は、経尿道的あるいは経皮的内視鏡結石摘出術を行っている

排尿障害=脳卒中・パーキンソン病・多発性硬化症・脊髄損傷・二分脊椎などの神経疾患に伴う神経因性膀胱、前立腺肥大症、過活動膀胱、間質性膀胱炎など、多岐にわたる排尿障害に対して、尿流動態検査により病態を正確に把握した上で、薬物治療、理学療法、外科的治療を用い、綿密な治療と指導を行っている。

医療設備

MRI、ヘリカルCT、3次元CT、体外衝撃波結石破砕装置,前立腺癌密封小線源治療装置、ロボット支援手術システム「ダ・ヴィンチ」、強度変調放射線治療装置、透視下尿流動態検査装置、軟性膀胱鏡、リニアックなど。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 ○
  • 主治医指名 ○
  • 執刀医指名 ○

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東海版」(ライフ企画 2011年4月)

整形外科

分野

整形外科

特色

整形外科は運動器、すなわち骨、軟骨、靱帯、筋肉に関する疾患を治療する科で、したがって扱う疾患は幅広く、専門的知識、技術も膨大なものになっている。名古屋大学病院においては、リウマチ、股関節、脊椎、腫瘍、小児、膝肩そして手の外科の7つの専門グループがあり、それぞれ高度で、専門的な治療に積極的に取り組んでいる。 

症例数

リウマチグループ=人工関節置換術(膝35、股10、肘5)、生物学的製剤使用症例約200例。低侵襲人工関節置換術を取り入れ行っている。血友病関節症に取り組む数少ない施設のうちの一つ。リウマチの薬物治療はメトトレキサートを基本として、生物学的製剤の使用も積極的に行っている。呼吸器、腎臓内科などとの連携も十分に取れており、合併症、副作用についても十分に対処できる。リウマチ治療の情報発信のため、リウマチネットワークを立ち上げ、勉強会、市民公開講座を開催している

股関節グループ=偏心性寛骨臼回転骨切り術50、彎曲内反骨切り術15、骨頭回転骨切り術5、人工股関節置換術70、再置寛術10、合計150関節(関連病院での手術を含む)。変形性股関節症に対する寛骨臼回転骨切り術は中部地区最大のセンターであり、優れた成績を得ている。また特発性大腿骨頭壊死症の骨頭温存療法のセンターでもある。同種骨移植術はNPO法人骨バンクネットワークを立ち上げ、安全で確実な骨供給システムを確立した。年1回患者指導のための股関節教室を行っている

脊椎グループ=120症例の脊椎脊髄疾患の手術:脊髄髄内腫瘍は年間15症例。脊髄髄内腫瘍の手術において、脊髄麻痺予防対策として脊髄モニタリングを充実させている。このモニタリングの効果で、重篤な脊髄麻痺は回避でき、髄内腫瘍の手術成績も満足できるものとなっている。長期臥床を余儀なくされる高齢者の脊椎圧迫骨折に対して、椎体形成をリン酸カルシウムとハイドロキシアパタイトのハイブリッドで行い、早期離床を可能としている

腫瘍グループ=骨肉腫6、軟骨肉腫4、ユーイング肉腫3、脂肪肉腫10、MFH 4、骨巨細胞腫4、平滑筋肉腫2、滑膜肉腫1、血管肉腫1、生検80。悪性腫瘍切除後の再建方法では当科で開発した加温処理骨移植、本邦では当科が中心に実施している鎖骨を回転して上腕骨を再建する方法などにより患肢温存、術後機能を改善している。リンパ節転移の多い腫瘍に対してはセンチネルリンパ節生検を実施している。小児悪性骨軟部腫瘍では、末梢血幹細胞移植を併用した大量化学療法を実施し、抗癌剤の有効性を高めている

小児グループ=股関節形成術25(股)、脚延長術15(肢)、内反足手術10(足)、下肢矯正骨切り術10(肢)、斜頸手術5、骨成長抑制手術5(肢)。培養骨髄細胞と多血小板血漿の移植を併用した脚延長術を行っている。本法の併用により、これまで治療期間が長く合併症の多かった脚延長術において、治療期間が短縮するとともに合併症の頻度も減少している

膝肩グループ=肩関節:関節鏡視下バンカート修復術(反復性肩関節脱臼)、関節鏡視下の修復術(腱板損傷)。膝関節:前十字靭帯再建術、半月板縫合術・切除術、内側膝蓋大腿靱帯再建術および脛骨粗面内方移行術(反復性膝蓋骨脱臼)、人工膝関節置換術、高位脛骨骨切り術(変形性膝関節症)。膝関節軟骨欠損には、正常な軟骨組織を一部採取して軟骨細胞を培養・増殖させ、軟骨欠損部に移植することにより軟骨を再生させる自家培養軟骨細胞移植術も行っている。スポーツ障害を含む膝関節・肩関節疾患に対しては、関節鏡視下手術を積極的に行っている

手の外科グループ=上肢機能再建術は年間約400件。手の外科グループマイクロサージャリー技術を用いた上肢機能再建、関節鏡・内視鏡を用いた最小侵襲手技による上肢機能再建を行っている。

医療設備

MRI、CT、骨シンチ、PET、DEXAなど画像装置およびクリーンルームなど手術室装備は最新の施設が完備。 
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 ○
  • 主治医指名 △
  • 執刀医指名 △

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東海版」(ライフ企画 2011年4月)

形成外科

分野

形成外科

特色

悪性腫瘍の再建を中心に、形成外科全般を扱っている。高度医療ではチーム医療が不可欠であり、悪性腫瘍、乳癌、唇裂口蓋裂、肝移植をチームとして行っている。耳鼻咽喉科、口腔外科の頭頸部腫瘍、整形外科の骨軟部腫瘍、外科の乳癌、肝移植、脳神経外科の頭蓋底手術、皮膚科の皮膚悪性腫瘍に対し、主にマイクロサージャリーによる遊離複合組織移植を行い、良好な成績を得ている。

症例数

入院手術件数は年間約330件である。そのうちマイクロサージャリーによる組織移植症例は70~100例である。頭頸部悪性腫瘍(舌癌、上顎癌、咽頭癌)の再建は数多く実施しており、マイクロサージャリーによる遊離複合組織移植術を主に行うことにより、術後の合併症を減らし、食べること、しゃべることのみならず、整容的な点まで配慮した再建を行っている。骨軟部腫瘍(骨腫瘍、脂肪肉腫など)の再建は血管柄付腓骨などで再建し、歩行障害を最小限としている。乳癌については切除と同時に乳房再建も行って、QOL(Quality of Life:生活の質)の向上を図っている。先天異常は唇裂、小耳症などが多く、口腔外科および小児科と連携して治療を行っている。肝移植に対しては肝動脈吻合を分担し行っている。

医療設備

マイクロスコープ、レーザー、内視鏡システムなど。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 ○
  • 主治医指名 ×
  • 執刀医指名 ×

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東海版」(ライフ企画 2011年4月)

産婦人科

分野

産婦人科

特色

産婦人科の臨床を腫瘍、周産期、生殖、絨毛性腫瘍の4つのグループに分けて、准教授または講師をチーフとしたチーム医療を充実させるとともに、産婦人科領域全域をカバーする診療を行っている。

症例数

外来患者数は月に2,200~2,500人、1日平均110~120人である。分娩数は年間400~450件であるがハイリスク妊娠が多いため、帝王切開が約50%を占めている。婦人科手術は年間約300件であるが、そのうち悪性腫瘍の手術が約1/2を占めている

卵巣腫瘍=悪性卵巣腫瘍では、日本国内で最初に研究会を組織して手術療法や化学療法を研究している。これらの研究成果は国際雑誌にも多数掲載され、治療法の改善を通じて患者さんの予後向上に貢献している。再発症例に対しても積極的に手術や化学療法を施行して、根治に向けて努力している。また、近年は外来化学療法も積極的に行っている。また卵巣明細胞腺癌に対するグリピカン3ペプチドワクチン治療を行っており日本全国から患者さんが来院している

子宮癌=子宮頸癌Ia期までは、患者さんの子宮温存の希望があれば、LEEP法による円錐切除を施行している。Ib2以上では化学療法と放射線療法を同時に施行するConcurrent Chemoradiationを第一選択としている。その後必要に応じて手術を行い、奏効率はほぼ100%である。若年子宮頸癌に対して子宮頸部広汎子宮全摘を行い、浸潤癌でも早期であれば子宮温存を行っている。子宮体癌ではIC期以上の症例に対しては、準広汎子宮全摘術後に抗癌剤による補助化学療法を施行し、全体の5年生存率90%と良好な治療成績を得ている

絨毛性疾患=62年に全国に先駆けて愛知県絨毛性疾患登録管理センターを設置し、胞状奇胎妊娠の患者さんの治療および登録、フォローアップを行い、胞状奇胎後に発症する侵入奇胎や絨毛癌の早期発見と治療成績の向上に努めてきた。国内でも最大規模の絨毛性疾患症例の治療を経験してきており、経験豊富な専門医による最先端の治療を行っている。現在、侵入奇胎の治癒率は100%であり、絨毛癌でも90%以上が治癒している

周産期=妊婦健診を月・木曜の午後に、母体・胎児に何らかのリスクのある妊婦さんを対象としたハイリスク外来を水・金曜の午前に実施している。妊婦健診では母体・胎児の状態をきめ細かく管理し、超音波診断・胎児胎盤機能検査・MRIを必要に応じ随時行っている。また、緊急時に十分対応できるよう夜間・休日でも常時2人の産婦人科医が当直している。母体の疾患としては糖尿病、腎炎、血栓症など内科的疾患とともに子宮筋腫・前置胎盤などが、胎児の異常として発育不全・奇形などが多く、小児科・小児外科・麻酔科など関連各科と連携を取りながら診断・治療に当たっている

不妊症=当専門外来では、複雑な不妊因子を抱えていて定型的な方法での治療が困難な方や、合併症を抱え他科との連携が必要な方を中心に診療を行っている。その他の特色としては①EBMにより、効率的な治療のステップアップを図り、1周期でも無駄にしないようにしている。②妊娠成立をゴールとせず、育児の開始まで総合的に考えて治療に当たっている。卵巣過剰刺激症候群や多胎妊娠を防ぐ努力はもちろんのこと、子宮筋腫などの婦人科疾患や糖尿病などの内科疾患の合併に対しては、治療方針の個別化を図っている。③IVF/ICSI(顕微授精)、TCR(子宮鏡下手術)、腹腔鏡下手術など、多様な手術手段を有しており、十分な説明を行い最も適した方法を求めている。④外来を行う経験豊かな専門医師が同時にIVFや手術も担当することで、1人の患者さんをチームで一貫してみていく体制をとっている。

医療設備

MRI、CT、PET-CT、カラードプラ、LEEPなど。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 ○
  • 主治医指名 △
  • 執刀医指名 △

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東海版」(ライフ企画 2011年4月)

小児外科

分野

小児外科

特色

東海地方唯一の大学院大学小児外科学講座であり、新生児外科疾患での産科・新生児科、小児悪性腫瘍での小児血液科・放射線科・胸部外科・形成外科、肝移植での移植外科・形成外科、肝胆膵領域での光学診療部、鏡視下手術での内視鏡外科など、特殊技術を持った科と協力しながら、小児専門の麻酔医のもとで、一般病院などでは治療困難とされるような症例に対しても積極的に手術を行い、その成績向上に努めていることが最大の特色である。

症例数

新生児を除く小児外科病床数は15床、09年の入院患者数は375人、手術件数は370件。このうちヘルニア手術は83例と少なく、多くは長時間を要する手術である。胆道閉鎖症の手術は年平均6例、96年以降の60例における完全減黄率は80%。肝移植は145例で小児は53例、生存率91%、04年以降の死亡例はない。先天性胆道拡張症は178例で、09年の手術は9例。新生児外科症例の09年の手術は40例。胃食道逆流症、ヒルシュスプルング病、脾摘、新生児などに対して鏡視下手術を行い、09年の鏡視下手術は45例。小児悪性腫瘍は他施設で摘出不能とされるような多臓器を巻き込んだ腫瘍の摘出も行い、09年の根治術施行例は13例。肺の嚢胞性疾患や気管狭窄などの治療も積極的に行っている。

医療設備

超音波診断装置、CT、MRI、HFO、ECMO装置、各種小児内視鏡、胸腔鏡・腹腔鏡手術器械、内圧測定装置など。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 ○
  • 主治医指名 △
  • 執刀医指名 △

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東海版」(ライフ企画 2011年4月)

眼科

分野

眼科

特色

網膜硝子体手術の大家である寺﨑教授の下、網膜硝子体疾患の診断および治療のレベルは高いと定評がある。寺﨑教授の下には難治性網膜硝子体疾患の診断、手術治療のために多くの患者が紹介を受けて来院する。さらに、加齢性黄斑変性には種々の治療法を持ち、日本で3本の指に入る多数の症例を治療し、多くの失明予防に貢献している。また糖尿病や全身疾患のある患者には、その専門性を持つ内科医師の管理下にて手術を行っている。病棟は鶴が羽ばたいた形の近代的高層ビルで、9階の眼科病棟からは鶴舞公園を見渡すことができ、四季の変化を楽しむことができる環境にある。手術室、検査室の入る中央診療棟に続いて新外来棟も完成した。

症例数

09年度の初診患者数は約3,500人、再診患者数は延べ約43,000人。総手術数は約1,200件、うち700件は網膜硝子体疾患であり、糖尿病網膜症、網膜剥離、黄斑円孔、黄斑前膜などである。初発例の網膜剥離の復位率および黄斑円孔の閉鎖率は100%に近く、加齢黄斑変性の光線力学療法(PDT)と薬物注入による治療実績は年間約510人で、優れた治療成績を挙げている。通常の網膜硝子体手術に加え、眼底を透見できない症例に対しての内視鏡を用いた網膜硝子体手術などの高度な手技も行われる。最近、黄斑部疾患には小切開白内障手術と合わせた微細な硝子体手術器具による低侵襲手術が行われている

★難度の高い未熟児網膜症をはじめとした網膜剥離等の難治な病状につい0ては、寺﨑教授は本邦でも有数の実績を誇り、全国からその手術目的で来院されている。当科には、黄斑部局所網膜電図のほか、3次元表示可能な最新型のスペクトラルドメイン光干渉断層計(SD-OCT)、多局所網膜電図、国際基準網膜電図、ハイデルベルグレチナアンジオグラム2(HRA2)、走査レーザー検眼鏡(SLO)、錐体杆体視野計、視感度測定などを完備しており、高精度の網膜形態、機能評価を行い、さらに手術適応の評価、手術後の機能評価にも用いている

★手術治療以外では、加齢黄斑変性、黄斑浮腫に光線力学療法、抗VEGF薬をはじめとする分子標的薬など新しい薬物治療を用いている。症例によっては原因遺伝子解析を行い、他大学病院、眼科施設にて鑑別できなかった症例に確定診断を行い、その成果を世界に発信している

★近藤准教授による電気生理学的診断および網膜色素変性症モデル動物を用いた病態の解明、および人工網膜の開発、伊藤特任准教授による網膜疾患の画像的病因解明と新しい画像診断装置の開発、高井医師による斜視弱視疾患・神経眼科疾患の診療および治療技術の研究、加地講師・米今助教・西口助教による網膜疾患の細胞生物学的研究と治療法の開発、石川医師による加齢黄斑変性の新規治療法の開発研究などを行い、現在治療不可能あるいは治療効果不十分な疾患への新しい診療を開発し続けている

★角膜疾患にはドライアイを専門とする杉田講師、眼窩腫瘍・眼科形成には田邊吉彦医師、久保田敏信医師、色覚外来では杢野久美子医師、斜視弱視外来には岩田恵美医師が専門外来を行っている。

医療設備

先端医療を行うに必要な手術機器や検査機器は、安全に手術ができるようにバックアップ器械を含めてすべて揃っている。今話題の網膜断層像撮影を行える光干渉断層計は、最新の機種を含め3台が稼働している。上述した機器以外に、緑内障治療のためのUBM(超音波生体顕微鏡)、難治性緑内障治療用眼内眼外毛様体レーザー、緑内障初期を検出するBlue On Yellow静的視野計などが揃っている。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 △
  • 主治医指名 ×
  • 執刀医指名 ×

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東海版」(ライフ企画 2011年4月)

皮膚科

分野

皮膚科

特色

当科は、集学的治療を必要とする難治性皮膚疾患である皮膚癌と膠原病の治療を中心に行っている。愛知県がんセンター中央病院に皮膚科部門が設置されていないことから、当科は地域の皮膚癌治療センターの役割を担ってきた。そのため、当科での皮膚癌患者数は全国的にみても、東京の国立がんセンター中央病院皮膚科に次いで多い。また、当院にはアレルギー科や膠原病科を標榜する診療科がないことから、当皮膚科の膠原病診療グループが当院での膠原病診療の中心的役割を担っており、多くの膠原病患者が外来通院あるいは入院している。遺伝性皮膚疾患(魚鱗癬、白皮症等)の病因遺伝子診断や、アトピー性皮膚炎のフィラグリン遺伝子変異スクリーニングも行っている。

症例数

09年度年間の初診患者数は1,732人、延べ外来患者数は26,437人、入院患者数は357人。年間総手術件数461件であり、内訳は、悪性腫瘍が184件、良性腫瘍が257件、腫瘍以外が20件。これらの手術のうち、入院のうえ行われた件数は193件である。手術患者以外の入院患者の疾患は、膠原病、水疱症、薬疹、皮膚感染症、熱傷、アトピー性皮膚炎を含む種々の皮膚炎などの重症例である

皮膚腫瘍=悪性腫瘍の中でも特に死亡率の高い悪性黒色腫の治療に関しては、最新の知見に基づいた世界標準の治療(手術・化学療法・放射線療法・免疫療法など)を行っている。悪性黒色腫(年間手術件数48件)以外の悪性腫瘍、例えば有棘細胞癌(同44件)、基底細胞癌(同42件)、乳房外パジェット病(同18件)、隆起性皮膚線維肉腫、血管肉腫、皮膚リンパ腫、悪性汗管腫などの治療経験も豊富であり、自信を持って治療にあたっている。皮膚癌のリンパ節転移の有無を調べるセンチネルリンパ節生検法は、早くから厚生労働省の先進医療として認可され、09年度年間68例、今までに計300例以上の症例の検査を行ってきた。センチネルリンパ節とは皮膚癌がリンパ管を通って転移をする場合、領域リンパ節の中の最初に流れ込むリンパ節を指す。このセンチネルリンパ節を取り出して調べ、そこに癌が転移していればその領域リンパ節の郭清を行い、センチネルリンパ節に転移が認められなければ郭清術を行わない。以前は転移が疑われれば一律に行っていたリンパ節郭清術がセンチネルリンパ節生検法によって本当に郭清の必要な患者だけに絞り込むことが可能となった。皮膚癌の治療法の選択にあたっては、個々の患者の年齢や生活状況、活動度を考慮し、かつ本人の希望に応じた治療法を選択できるように、十分な説明を行っている。治療方針は教授をはじめ医局員全員の出席する医局カンファレンスで討議のうえ決定し、実際の手術は横田助教をリーダーとし澤田助教、松本助教がチームを組んで行っている。なお当科の治療における悪性黒色腫患者の5年生存率はStageIAとIBで100%、IIA:88%、IIB:60%、IIC:58%、IIIA:50%、IIIB:44%、IIIC:27%、IV:0%である

膠原病=エリテマトーデス、皮膚筋炎、強皮症、シェーグレン症候群など膠原病は、はじめに皮膚症状から発症する例が多く、まず皮膚科を受診し、皮膚科で治療を開始することが多い。当科では室准教授、杉浦准教授が医員と膠原病診療チームを組んで治療にあたるが、増悪して腎臓・肺・筋肉など臓器障害が重症化した場合には、腎臓内科・呼吸器科・整形外科などと緊密な連絡をとって集学的治療にあたる。室准教授と杉浦准教授は、膠原病患者の血液中に存在する様々な自己抗体の膠原病発症に果たす役割の研究や、診断利用できる自己抗体の測定キットの開発を進めている

遺伝性皮膚疾患の遺伝子診断=色素異常症については、河野講師が中心になって遺伝性色素異常症や眼皮膚白皮症の遺伝子診断を行っており、国内ばかりでなく世界的にも高い評価を受けている。また、河野講師はハーバード大学の皮膚病理診断学の大家ミーム教授の下で、色素性病変の病理組織診断学を修め、当科での悪性黒色腫の組織診断に貢献している。魚鱗癬を始めとする遺伝性角化症についても、出生前診断を含めた遺伝子診断を行っている

アトピー性皮膚炎=日本人アトピー性皮膚炎患者の約30%でその発症因子となっているフィラグリン遺伝子変異についてスクリーニングを行って、テーラーメイド医療の確立を目指している。

医療設備

PUVA用紫外線照射装置、超音波診断装置、CT、MRI、RIなど。
  • セカンドオピニオン受入 △
  • 初診予約 △
  • 主治医指名 ×
  • 執刀医指名 ×

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東海版」(ライフ企画 2011年4月)

糖尿病・内分泌内科

分野

糖尿病内分泌内科

特色

当科は国立大学の中で唯一、内分泌代謝疾患と糖尿病を対象として一つの内科が一体となり外来・病棟で診療を行っていることが大きな特徴である。内分泌疾患も糖尿病もいずれもホルモン作用の異常が基本となる病気であり、また内分泌疾患が2次的に糖尿病を発生することもあり、同一の診療科で診断と治療が無理なく効率的に完結することができる。最近、糖尿病や肥満の著増がわが国における大きな社会問題ともなっているが、当科では食欲調節のしくみを研究し、食欲調節薬の臨床応用に向け特許を出願し、実用化に向けた検討を行うなど、大学としての研究機能が病気の治療に直結することを念頭に置いて活動している。また、同じように腎性尿崩症の遺伝子治療、糖尿病の血管合併症治療に対する細胞治療など、近日中に臨床応用可能となる研究を推進している。当科のホームページ(http://www.med.nagoya-u.ac.jp/endodm/)。

症例数

年間の外来患者延べ数は38,000人、入院患者数は約360人である。そのうち約80%が糖尿病、15%が甲状腺、下垂体、副腎疾患、残り5%が肥満症、骨粗鬆症などの疾患である

★糖尿病、高脂血症、肥満症などの代謝性疾患は食事・運動療法が最も基本となることから、管理栄養士による個別栄養指導、教育入院時のバイキング食導入による糖尿病食の実体験などに力点を置いている。薬物治療については、糖尿病療養指導士の資格を持つ看護師、薬剤師と分担し、糖尿病の薬物療法の原理とその意義を分かりやすく説明した上で、服薬あるいはインスリン使用の注意と指導を行い、さらに血糖自己測定の指導とこれを用いた糖尿病治療の経過をコンピューター管理に反映するなど、医師だけではなく糖尿病治療に関係するすべての専門職が関与して治療効果をあげるよう努力している。また、新しい治療に対し積極的に参加を希望される患者さんには、同意を得た上で治験薬の使用による新規治療を施行している

★内分泌疾患として最も多い甲状腺疾患には、甲状腺機能亢進症・低下症、甲状腺腫瘍などがあるが、日本甲状腺学会の診療ガイドラインに基づいた診断を行い、当科に蓄積されているデータを加え、最も適正な診療を行うことを基本としている。また、当院放射線科との連携で、当地区ではほとんど実施されていない甲状腺癌の放射性ヨード薬を用いた治療を行うなど、独自性のある治療を進めている。さらに、外科的治療が必要な場合には、当院の乳腺内分泌外科との密接な協力体制の中で手術依頼を行っている

★下垂体疾患については、下垂体ホルモンの関係する各種病態の診断と治療を行っており、特に抗利尿ホルモンの異常による中枢性尿崩症では患者会と協力し、新しい治療薬の日本への導入を行いつつあるなど、患者・医師連携を重視し診療を行っている。また、下垂体の各種腺腫性疾患の早期診断を行い、特に先端巨大症では最近複数の新規薬物療法が日本でも応用可能となったため、従来の手術療法と薬物療法の適応判定を厳密に行い、いずれも80%以上の症例で治癒または良好なコントロールを得ている。08年度からは、厚生労働省の指定する特定疾患(難病)の一つである間脳下垂体疾患の全国的調査研究のヘッドを担当し、日本各地の専門病院をまとめ、この領域の診断・治療成績向上のための中心的推進役を任されている

★クリニカルパスとしては、「糖尿病教育」「インスリン導入」「バセドウ眼症」「原発性アルドステロン症」について導入し、実績を積んでいる

★当地区の約30病院と診療所に当科から輩出した専門医を配置し、当科が中心となり病診・病病連携を図るとともに、症例検討会などを定期開催し、専門領域の研鑽に指導的役割を果たしている。

医療設備

マルチスライスCT、3テスラMRI、RVS超音波、骨塩定量、フルデジタルマンモグラフィ、各種シンチグラム、PET、サイクロトロン、アイソトープ治療室(甲状腺癌内服療法)。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 ○
  • 主治医指名 ×
  • 執刀医指名 /

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東海版」(ライフ企画 2011年4月)

血液・腫瘍内科学(血液内科)

分野

血液内科

特色

名古屋大学血液内科の前身である旧第1内科の創設は大正時代までにさかのぼり、初代教授の勝沼精蔵先生は日本血液学会のみならず日本医学会の重鎮として活躍された。01年より旧第1内科の血液グループは血液内科として再出発した。診療では他に関連する難治感染症部、輸血部、保健学料などからの応援を受けている。

症例数

当科では、急性・慢性白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫などの「造血器悪性腫瘍」、再生不良性貧血や骨髄異形成症候群などの「造血障害」、血小板減少症・異常症、先天性・後天性血友病、von Willebrand(フォン・ヴィレブランド)病、エコノミークラス症候群などの「止血・血栓疾患」の患者さんの診療にあたっている

★造血器悪性腫瘍の治療法は抗癌剤が中心となるが、当科では最先端の医学知識を導入して、最適な治療プロトコールを患者さんが納得されるまで説明し、施行している。また近年注目を集めている「分子標的療法」も積極的に取り入れている

★血友病、von Willebrand病などの先天性止血障害は全国的にも珍しく、専門病院が不足しているが、当院は東海地区においてこれら難治性の疾患の診療のセンター的役割を担っており、地域の診療機関と連携して専門医が見つからずお困りの患者さんのニーズに応えている

★また、骨髄や血液中の造血幹細胞を採取し移植する造血幹細胞移植を造血器悪性腫瘍、造血障害に対して積極的に行っている。この治療はHLAの一致した血縁者や骨髄バンクに登録されているドナーの方から幹細胞(骨髄もしくは末梢血)を提供して頂くのが一般的だが、近年ではこれらに加えて臍帯血を用いた移植療法も取り入れている。

医療設備

無菌病室15病床を難治感染症部と共同で運用している。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 △
  • 主治医指名 ×
  • 執刀医指名 ×

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東海版」(ライフ企画 2011年4月)

脳神経外科

分野

脳神経外科

特色

当教室の歴史は古く、日本脳神経外科学会の創設者・齋藤眞教授より始まる。その後、景山直樹教授は脳腫瘍学を確立し、杉田虔一郎教授は脳神経外科の顕微鏡手術の確立に中心的役割を果たした。吉田純教授は生命科学・医用工学の進歩を取り入れ、脳腫瘍の遺伝子治療、細胞・再生医療や、脳血管内治療の開拓に尽力するとともに、コンピューター・画像診断の新しい技術を導入した精巧な手術法を開発し、術中MRIやナビゲーション手術を駆使した進化型手術室(Brain Theater)の設置に尽力した。一方、地域社会への医療還元のために、脳卒中外科を中心とする救急医療情報ネットワークの構築も現在進行中である。08年度より若林教授が就任し、ロボティクスサージャリーおよび高度先端医療開発に取り組んでいる。

症例数

年間の手術数は457件。関連病院(45施設)を含めると10,193件。関連病院を含めた入院患者疾患別内訳は、腫瘍2,780例、脳動脈瘤2,255例、脳出血3,123例、脳梗塞2,798例、頭部外傷4,444例、脊椎・脊髄疾患1,185例、機能的脳外科疾患821例等、総計19,741例(09年実績)

脳腫瘍グループ(悪性腫瘍298件)=Brain Theaterを用いた最先端手術にて、腫瘍摘出率と機能予後の改善が飛躍的に向上している。先端医療の臨床研究開発としては、悪性脳腫瘍への遺伝子治療臨床応用を実施している本邦唯一の施設である

頭蓋底・内分泌グループ(頭蓋底/内視鏡手術130件)=頭蓋底局在腫瘍に対し頭蓋底手術、神経内視鏡手術、キーホール手術など特殊技術を要する手術法を駆使して、摘出困難な腫瘍に対し、安全性を高め、しかも摘出率を向上させる手術法の開発に努めている

機能的脳外科・画像解析グループ(パーキンソン病定位脳手術200件、本態性振戦定位脳手術24件、難治性疼痛・てんかん手術70件)=薬では難治性となった不随意運動(パーキンソン病、振戦)、てんかん、痛みに対し、近年進歩著しい脳神経画像診断技術と連携して、定位脳手術を実施。視床下核深部刺激術、視床Vim深部刺激術、運動野刺激術、焦点切除術などに工夫を凝らした新たな手術法を確立してきている

脊髄・脊椎グループ(脊髄・脊椎疾患198件、末梢神経11件)=神経モニタリングや術中ナビゲーション技術を駆使して、低侵襲で最大の効果を引き出せる努力を検討している。特に、両開き式椎弓拡大形成術(トランペットラミノトミー)の導入にて長期に安定した手術成績が得られるようになってきた

遺伝子治療グループ=悪性脳腫瘍の遺伝子治療が実施できる国内唯一の施設を支える横断的グループである。分子脳神経外科学を基盤におき、全グループの先端医療開発を推進支援している。近年は、コンピューターテクノロジーを基盤とした新しい医療インフラ開発を手がけている

脳血管内外科・脳卒中外科グループ(血管内塞栓術892件、血行再建術44件)=脳動脈瘤、脳動脈狭窄病変、動静脈奇形、硬膜動静脈瘻、血管外傷、脳塞栓、血管性腫瘍等、適応疾患は多岐にわたる。使いやすいデバイスの開発、産学連携により画像情報処理の改善、コンピューターシミュレーションモデルを用いた血管内動態の診断・治療の改善等による治療成績の向上に努めている。また、救急医療との提携により、医療機関ネットワーク体制の確立により血栓溶解術の迅速対応体制や、脳卒中後の回復期リハ施設や在宅医療との提携による有機的治療体制の確立、さらには脳ドックによる予防医療の啓発活動を推し進めている。

医療設備

当院には術中MRIおよびネットワークによる手術支援情報の提供に特徴づけられるBrain Theaterと名付けられた手術支援システムを擁している。また、術中モニタリング技術、ナビゲーション、覚醒下手術の併用により、機能予後への配慮をした、より難易度の高い手術も、成績の向上が顕著となっている。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 ○
  • 主治医指名 ○
  • 執刀医指名 ○

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東海版」(ライフ企画 2011年4月)

乳腺・内分泌外科

分野

乳腺・内分泌外科

特色

甲状腺、副甲状腺、副腎、膵臓などの内分泌臓器の腫瘍性病変と、乳腺の外科的疾患を対象に診療を行っている。ホルモンを産生する内分泌腺の疾患と、ホルモンに感受性の高い乳腺の疾患を扱っており、ホルモンに関係する病気の特徴、性質をふまえた治療を専門的に行っている。また、先進医療の開発にも積極的に関わっている。大学病院ならではの各領域の専門医師の有機的な協力体制により高度かつ安全な医療を提供している。

症例数

09年の手術数は、甲状腺57例、副甲状腺13例、副腎26例、乳癌180例である

★甲状腺癌に対しては、腫瘍径2センチ以上では甲状腺全摘術、両側気管周囲リンパ節郭清術を標準術式としている。腫瘍径2センチ未満の早期癌では片葉切除および患側気管周囲リンパ節郭清を標準術式としている。ほとんどが他施設からの紹介患者で進行例が多い

★副腎腫瘍で腹腔鏡下副腎摘出術を95年から開始し、現在まで300例以上経験し開放手術への移行は約3%。クッシング症候群と原発性アルドステロン症は、ほぼ全例が腹腔鏡下副腎摘出術の適応となっている

★乳癌手術は、乳房温存療法が50%を超えている。術前の病変の広がりを放射線科と協力して正確に診断して、過不足ない切除範囲を設定している。乳房切除後の乳房再建術を当院形成外科において同時再建、二期的再建とも積極的に行ってもらっている。80%以上の症例でセンチネルリンパ節生検をアイソトープ法を用いて実施している。術中放射線照射、再発乳癌に対する温熱免疫治療などの臨床研究を実施している

★乳癌術前・術後化学療法、再発時の化学療法、その他内分泌疾患の抗癌剤治療は、外来化学療法部とカンファレンスを毎週開き、十分な検討のもと実施している。

医療設備

超音波、CT、RVS(超音波・CT・MRI画像同期診断システム)、MRI、PET-CT、シンチグラフィー、デジタルマンモグラフィ、マンモトーム生検(X線ガイド下・USガイド下)、ガンマプローブ(センチネルリンパ節生検用)、リニアック、モベトロン(術中照射装置用)、交番磁場照射装置(温熱免疫治療装置用)、腹腔鏡手術機器。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 ○
  • 主治医指名 ○
  • 執刀医指名 ○

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東海版」(ライフ企画 2011年4月)

放射線科

分野

放射線科

特色

当教室は従来より研究室制ではなく、各医師が複数のモダリティーや臓器を担当し、総合画像診断を行っている。また診断医・治療医も同じ教室員であり、日常的に交流している。

症例数

MRI(担当:長縄、川井)=3テスラMRI 2台と1.5テスラMRI 2台の計4台が稼働している。当院では早くから3テスラMRIを導入しており、その症例の蓄積も豊富である。すべての検査について読影レポートを作成している(年間約19,000件)

CT(佐竹、岩野)=4台のマルチスライスCT(64列2台)が稼働しており、ほぼすべての検査について読影レポートを作成している(年間約35,000件)

核医学(加藤、岩野、伊藤)=SPECTカメラが3台あり、年間約2,800件の検査を行っている。全例に読影レポートを作成している。また、甲状腺機能亢進症や甲状腺癌に対するRI治療(内用療法)も行っている。当院は愛知県内で甲状腺癌に対する内用療法が行える唯一の施設であり、年間約50件の治療を行っている

PET(加藤、二橋)=PET-CT(Biograph16, Siemens)は06年より新規に導入された。もう1台のPETカメラは元々あったPET(HEADTOME-V、SET-2300W:島津製作所)をバージョンアップし、HEDTOME-V、SET-2400Wとして使っている(年間約2,300件)。サイクロトロン(住友重機、CYPRIS HM-18)、放射性薬剤自動合成装置(住友重機、F-18 FDG合成装置F-200、ガス状標識化合物合成装置、C-11研究用合成装置、F-18研究用合成装置)など最新の設備を備えている。F-18 FDGだけでなく、C-11メチオニン、O-15 H2O、O-15ガス、F-18 FDOPA、C-11コリン、F-18FLT、F-18NaF等を合成しており、臨床応用や研究に使用している

IVR(鈴木、森、高田)=IVRはIVR-CTを2台使用して行っている。治療内容は各種悪性腫瘍に対する動脈塞栓術や動注化学療法、リザーバー留置術、血管狭窄病変に対する血管拡張術(PTA)、ステント治療術、動脈瘤や血管奇形に対する動脈塞栓術などを中心に行っており、これら血管系IVRと血管造影検査を合わせて年間約420件行っている。また、出血に対する緊急IVRにも夜間・休日を問わず対応している。生検やドレナージなどの非血管系IVRは、年間約100件行っている

US・マンモグラフィ(佐竹、石垣)=当院放射線科における超音波検査(US)は、主に乳腺・甲状腺領域を専門として、RVS(Real-time Virtual Sonography)やエラストグラフィの搭載された最新のUS装置を用い、専門の放射線科医が行っている。フルデジタルマンモグラフィ(MMG)と MMG読影専用の高解像度モニターを用いて、読影レポートを作成している

放射線治療(伊藤、石原、平澤、久保田)=放射線治療室には通常の外照射装置2台、高線量率小線源治療装置1台、放射線治療計画専用CT 1台があり、放射線治療担当医師6人(全員が日本医学放射線学会治療専門医)が診療を行っている。手術室では術中照射専用電子線照射装置1台が07年4月から稼働している。09年には1年で725例の初診患者があった。早期前立腺癌に対しては泌尿器科と協力して小線源治療を施行している。早期肺癌などに対する定位照射や前立腺癌などに対する強度変調放射線療法(IMRT)など、高精度放射線治療にも取り組んでいる。

医療設備

MRI(3テスラ 2台、1.5テスラ 2台)、CT 4台、IVR-CT 2台、PET-CT 1台、PET 1台、SPECT 3台、MMG、CRマンモグラフィ、外照射装置 2台、高線量率小線源治療装置 1台、放射線治療計画専用CT 1台、骨塩定量、一般病室、アイソトープ治療室。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 ○
  • 主治医指名 ○
  • 執刀医指名 /

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東海版」(ライフ企画 2011年4月)

麻酔科ペインクリニック

分野

ペインクリニック

特色

大学病院という特色を生かして、様々な難治性の痛みに対して,専門性の高い関連各科と連帯して痛みの診断、治療、リハビリテーションを総合的に進めている。診断に関しては、患者さんを一人の痛みをかかえた人間として、全人的に受け止めた上で診察・検査を進め、必要に応じて脳神経外科・神経内科、精神科、整形外科、放射線科、中央検査部など関連領域の医師と連帯しながら行っている

★治療に関しては、神経ブロック療法のみならず脊髄電気刺激療法なども積極的に行っており、さらに精神・心理的アプローチや自立訓練、各種薬物療法の併用など様々な治療方法を駆使している。神経ブロックの実施においては、確実な手技を目指したX線透視下ブロックのみならず、必要に応じてCTガイドや超音波エコーも併用して安全に十分配慮して行っている。用いる薬剤に関しても、神経破壊薬に代わる高濃度局所麻酔薬や高周波熱凝固法の応用を積極的に進めている

★また当科での治療だけにとどまらず、脳神経外科、整形外科と緊密に連携を取り、適切な時期に適切な手術を受けることによって、患者さんにとって最良の治療を受けられるように心がけている。

症例数

年間の新患者数は約300人

★主な対象疾患は、頭痛、顔面の痛み、三叉神経痛、変形性頸椎症や頸肩腕症候群に伴う首・肩・上肢の痛み、椎間板ヘルニア、変形性腰椎症、脊柱管狭窄症などによる腰下肢痛、帯状疱疹および帯状疱疹後神経痛、バージャー病、レイノー症候群など血行障害による痛み、外傷後や手術後に持続する痛み、反射性交感神経性異栄養症、Complex Regional Pain Syndrome(CRPS)などの難治性神経障害性疼痛、癌性疼痛など多岐にわたる。網膜中心動脈閉塞症などの痛みが主訴でない疾患の治療にもあたっている

★診断は病歴・理学所見などに加えてCT・MRI等の画像所見を積極的に用い、画像診断については放射線科医とダブルチェックで行っている。難治性神経障害性疼痛などに対しては、ドラッグチャレンジテスト(薬剤感受性試験)を行い、その結果を基に治療方針を立てている。ニューロメーターによる痛みの評価も必要に応じて行っている

★治療は多くの適応疾患をもつ星状神経節ブロック(SGB)が一番多く行われており、次に多いのが硬膜外ブロックである。その他、腕神経叢ブロック、肩甲上神経ブロック、肋間神経ブロック、トリガーポイントブロック、腰部交感神経節ブロック、椎間関節ブロック、神経根ブロックなど、基本的にはペインクリニック治療指針に従って治療を行っている。腹腔神経叢ブロックは、透視とCTガイドを同時に用いて安全・的確に行っている。難治療性疼痛に対しては、脊髄電気刺激療法を積極的に行っている。経皮的に8電極カテーテルを1~2本留置して試験刺激を行い、有用性を認める場合は後日電極とバッテリーを留置している。近年充電式バッテリーなどの植え込みも可能となってきており、患者の病態に応じてよりきめ細かな対応を行っている。経皮トライアルが無効だった場合、脳神経外科紹介にて脳運動野電気刺激、脳深部電気刺激などの適応となる場合もある。三叉神経痛に対しては、眼窩上神経ブロック、眼窩下神経ブロック、頤神経ブロック、上顎神経ブロック、下顎神経ブロックを高周波熱凝固にて安全に行っている。痛みが内服薬でコントロールできて時間的余裕があれば、脳神経外科を紹介し神経血管減圧術やガンマナイフの適応となる場合もある。ドラッグチャレンジテストの結果によっては、ケタミン点滴療法を外来にて行っている。帯状疱疹後神経痛に対しては、プレギャバリン・抗うつ薬などの内服治療が第一選択となるが、痛みが強い場合は入院にて持続硬膜外ブロック・末梢神経ブロックなどを行っている。非癌性疼痛に対するオピオイド治療は適応を厳格に見定めているが、必要な患者にはパッチ製剤の使用も含めて行っている。癌性疼痛に対しては、オピオイド治療以外に硬膜外ポート植込みや腹腔神経叢ブロック・クモ膜下ブロックなどの永久ブロックを症例に応じて積極的に行っている。

医療設備

MRI、CT、X線透視・撮影装置、超音波診断装置、神経ブロック用電動ベッド、高周波熱凝固装置、硬膜外腔鏡、神経刺激装置、筋電計、ニューロメーター、ペインビジョン、レーザー、光線治療器など。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 △
  • 主治医指名 △
  • 執刀医指名 △

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東海版」(ライフ企画 2011年4月)

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