女性に多い痛みの傾向とその原因は?【前編】

[ニュース・トピックス] 2014年11月12日 [水]

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平均寿命と健康寿命、その差は女性で10年超

順天堂大学医学部附属順天堂医院
麻酔科・ペインクリニック講座 教授
井関雅子先生

 10月28日、ファイザー株式会社とエーザイ株式会社は、都内でプレスセミナー「性差と痛み」シリーズ第1回「女性に多い痛みとその最新治療動向」を開催しました。セミナーでは、順天堂大学医学部附属順天堂医院 麻酔科・ペインクリニック講座 教授の井関雅子先生が講演。女性が注意すべき痛みと見過ごされがちな痛みの対処法などについて語りました。
 近年、日本人の平均寿命は長くなってきていますが、健康寿命との差が年々開いていることが問題視されています。健康寿命とは、健康上の理由で日常生活に制限がない期間のことをいいます。つまり、平均寿命が長くなったとしても、健康寿命が長くならないと、元気に歳を重ねているとは言いがたい状況にあるということです。そしてこの平均寿命と健康寿命の差は、女性の方が大きく、10年ものギャップが生まれてしまっているのです。

他人とは共有できない、つらい痛み

 井関先生は、「寝たきりになる理由として、認知症もあるかと思いますが、体の痛みから寝たきりになる方も多いと考えています」と語り、痛みが単に体に不快感を及ぼすだけではなく、寝たきり、そして健康寿命を短くしてしまうリスクを伴うものであると説明。また、「自覚のある症状について、肩こりや腰痛などの『痛み』と訴える方は、男性よりも女性に多いという調査結果(平成25年国民生活基礎調査)が出ており、女性の方が痛みを持っている方が多いということがわかります」と、井関先生。
 では痛みとは、そもそもどういうものなのでしょうか。国際疼痛学会では「組織の実質的または潜在的な障害に伴う、または、このような障害を表す言葉を使って述べられる不快な感覚・情動体験」とされています。少し簡単な言い方をすれば、「痛みという不快な感覚と、それによってどのように気持ちが変化するか」ということです。「痛みは、他人とは共有しにくい感覚です。どんなに仲のいいご夫婦やお友達であっても、痛みについて同情することはできても、同じ痛みを味わうことは難しいものです」と井関先生は語り、痛みがなかなか理解してもらえない、悩ましい問題であることを強調しました。(QLife痛み編集部)

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