[シェーグレン症候群] 2016/09/09[金]

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武井正美先生 代表的な症状にドライマウスやドライアイなどがあるシェーグレン症候群。これらの乾燥症状に加え、疲労感や痛みなどを伴うことも多く、その症状は多岐に渡ります。

 シェーグレン症候群患者の実態を調査報告した「日本シェーグレン白書」によると、こうしたさまざまな症状が招く日常生活への影響で悩んでいる方も少なくありません。「日本シェーグレン白書」の作成に携わり、ご自身も大勢のシェーグレン症候群患者さんの診療をしている日本大学医学部 内科学系 血液膠原病内科学分野 部長 主任教授の武井正美先生に、その症状や日常生活への影響についてお話を伺いました。

家族や身近な方にも伝わりにくい「症状のつらさ」

 シェーグレン症候群の患者さんの代表的な症状は、口がねばねばする、パンなどの乾いたものが飲み込みにくい、食べ物の味がわかりにくい、舌や口の中が痛いなどの症状のドライマウスや、目が乾く、涙が出ない、目が疲れるドライアイといった乾燥症状と関節等の痛み、そして強い疲労感です。

 ドライマウスやドライアイは患者さん本人にとっては継続的な、非常につらい症状ですが、周囲からは見た目ではわからず、家族や身近な方であっても自分のこととして理解するのは難しいことです。さらに乾燥症状は目や口だけでなく全身に発生するので、乾燥性の膣炎を起こすこともありますが、言い出せずにひとりで悩んでいる場合もあります。また、関節等の痛みや疲労感は、検査では原因が特定できないこともよくあり、周囲から「気のせい」「怠け病」などと言われ、非常に傷ついている患者さんも多くいます。

日常生活への影響「生活が不便」が最も多く、経済面にも及ぶ

 シェーグレン症候群の患者さんの実態を調査した「日本シェーグレン白書」によると、日常生活への影響について、85%の患者さんが「影響があった」と回答しました。内容として、「生活が不便」になったことが最も多く、「家事ができない」、「経済的に苦しくなった」と続きました。外出の機会が減り、交友関係が少なくなってしまうなど、趣味や娯楽の制限があった方も多くみられました。

日常生活で影響を受けた内容グラフ

※日本シェーグレン白書「日常生活への影響」を基にQLife編集部で作成

心身に影響を受け、仕事が続けられない人は約3割も

 職業生活への影響については、70%の患者さんが「影響があった」と回答しており、「身体症状でつらい」という方が最も多かったほか、「精神症状でつらい」という方も多く、心身ともに影響を受けている様子がうかがえます。「休業・退職・廃業した」という方も27名いました。

職業生活で影響を受けた内容グラフ

※日本シェーグレン白書「日常生活への影響」を基にQLife編集部で作成

家族の支えを得て日々を過ごすために

 日本シェーグレン白書によると、シェーグレン症候群になって、「家族の手伝い」という良い影響が及ぼされた方は38%、逆に「家族につらくあたられた」という方も20%いました。病気への理解が進む助けになりますので、医療機関を受診される際は、ぜひご主人やご家族と一緒に来院することをおすすめします。患者さんやシェーグレン症候群に関する医療関係者が集まる『日本シェーグレン症候群患者の会』でも相談することが出来ます。こういった患者会などを通して、患者さんや家族が病気に対する理解を深め、同じ病気にかかっている患者さんとコミュニケーションをとることで、悩みを減らすことも非常に重要だと考えます。

症状のつらさを緩和するための日常生活とは

 その他の膠原病を合併しない一次性シェーグレン症候群で乾燥症状が主体の場合は、あまり心配しすぎず、何でも好きなことをすると良いと思います。ただし、少なくとも半年に1回は診察を受け、合併症などの確認をすることが大切です。

 唾液や涙の分泌は、自律神経に大きく影響を受けます。緊張するなどして交感神経の働きが強くなると、シェーグレン症候群でなくても、口が乾いたりします。なるべくストレスがないように、好きなことをして過ごす時間をもつのも大切です。

 食生活では、魚の脂は自己免疫に良いので、魚を中心とした食事を心がけましょう。また低カロリーで野菜がたくさん摂取できることから、日本食がおすすめです。関節リウマチ患者さんの約20%はシェーグレン症候群を合併するといわれています。関節リウマチなどの膠原病は骨粗しょう症を合併しやすいため、ヨーグルトなどでカルシウムも補うようにすると良いでしょう。

提供 キッセイ薬品工業株式会社

日本大学医学部 内科学系
血液膠原病内科学分野 部長 主任教授

武井 正美先生

専門分野は、膠原病リウマチ学。対象疾患は、関節リウマチ、シェーグレン症候群、全身性エリテマトーデス、強皮症、皮膚筋炎、多発性筋炎、混合性結合組織病、ベーチェット病、血管炎症候群、抗リン脂質抗体症候群、リウマチ性多発筋痛症など。
アメリカリウマチ学会正会員、アメリカ免疫学会正会員、日本内科学会、日本リウマチ学会、臨床免疫学会評議員、日本シェーグレン症候群学会理事、「日本シェーグレン症候群患者の会」事務局長、NPO法人 シェーグレンの会 副理事長。

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