日常生活に配慮して腰への負担を軽くします

[腰椎椎間板ヘルニアと生活, 腰部脊柱管狭窄症と生活] 2015年2月24日 [火]

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腰への負担が大きい姿勢や動作は避けましょう

 腰椎椎間板ヘルニアの手術後は、手術した部分の椎間板が回復中の時期です。

 また、腰部脊柱管狭窄症の手術後の腰椎は、一般に手術前よりも強度が下がると考えられます。手術は神経への圧迫をとるために、狭窄している部分の骨を削るのが基本で、再発を防ぐために、やや広めに削る場合もありますし、患者さんによっては数個の椎骨を一度に手術することもあるからです。

 そのためどちらの病気でも、手術後はもちろん、保存療法をしている患者さんも、日常生活では腰椎に負担をかけない注意が必要です。腰をかがめた姿勢を続ける、長時間の運転をする、重いものを何度も持ち上げる、重いものを持ったまま腰をひねるなどの動作は避けてください。

 腰椎椎間板ヘルニアの手術後、椎間板に負担をかける動作を避ける期間については、おおむね3カ月を目安に、担当医に相談しながら判断するとよいでしょう。

 腰部脊柱管狭窄症がある場合、背中を反らせる姿勢は脊柱管の内部を狭くし、神経を圧迫することになります。とはいえ、座って前かがみになっていると楽だからといって、長時間座りっぱなしというのも望ましくありません。

 図を参考に、腰椎に負担をかけないように注意しながら、できるだけ通常どおりの日常生活を送ってください。

腰部脊柱管狭窄症では日常生活の工夫がたいせつです

腰部脊柱管狭窄症では日常生活の工夫がたいせつです

体を起こすときは横向きから手をついて

体を起こすときは横向きから手をついてす

寝るときは腰の反らない姿勢をとります

寝るときは腰の反らない姿勢をとります"

肥満の予防がたいせつです

 肥満になると腰椎や椎間板への負担が増すだけでなく、おなかが前にせり出すため反った姿勢になり、腰椎のうしろ側が常に圧迫され、骨に無理な力が加わった状態になります。その結果、腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症の再発や、新たな発症につながる危険があります。

 肥満と腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症との関係を示した決定的な研究はまだありませんが、体重増加が腰椎への負担を増やすことは確かです。規則正しい生活と運動習慣を身につけて、適切な体重を維持するように努めましょう。

精神的ストレスが痛みにつながることがあります

 手術はうまくいき、X線検査やMRI検査などの画像検査でも問題がないのに、慢性的な痛みが続いたり、おさまっていた痛みが再発したりする患者さんも少なくありません。原因が特定しきれない、このような症状の慢性化や再発には、ストレスや痛みへの過剰な不安がかかわっていることがあります。

 とくに腰部脊柱管狭窄症の症状はゆっくりと進行していくのがふつうなので、慢性の痛みを抱えていた患者さんも多く、腰を大事にしすぎて動かさないようにしがちです。こうした生活を続けていると、腰周辺の筋肉が硬くなり、かえって痛みがとれにくくなります。ますます痛みへのおそれが強くなり、仕事や趣味なども制限せざるをえなくなると、悲観的になり、うつ傾向につながることもあります。

 痛みと上手につきあいながら積極的に体を動かしたり、姿勢に気をつけたり、運動療法を行ったりすることで、症状が改善することもあります。

 いつまでも痛みがとれなかったり、おさまっていた痛みをまた感じるようになったりしたら、一人で抱え込まずに担当医に相談して診断を受けたうえで、運動療法などの指導をしてもらいましょう。また、うつ傾向が強い場合などは、精神科や心療内科の受診も選択肢の一つです。必要であれば、適切な専門医の紹介を頼んでみましょう。

いつまでも痛みが気になるときは担当医に相談しましょう

いつまでも痛みが気になるときは担当医に相談しましょう

(正しい治療がわかる本 腰椎椎間板ヘルニア・腰部脊柱管狭窄症 平成22年8月14日初版発行)

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