医療人50回突破記念 見えてきた開業医の日常…厳選ベストエピソード【後編】
[クリニックインタビュー] 2010/01/22[金]
患者さんのこと、地域のことを一番に考えながら、独自の工夫で医療の最前線に取り組んでいる開業医がたくさんいます。「町のお医者さん」にもっと親しんでもらいたい、ドクターと生活者との距離を縮めたい、という目的で連載を開始した「医療人」。おかげさまで連載50回を迎えることができました。今回は、これまでの記事を振り返り、個性豊かなお医者さんの素顔をたどってみたいと思います。
※こちらの記事は後篇です。
⇒医療人50回突破記念 見えてきた開業医の日常…厳選ベストエピソード【前編】を読む
インターネットで情報発信 ―― 患者さんと繋がるためには?
インターネットの情報をもとにお医者さんを探す人は、とても増えましたが、逆にインターネットを利用して自ら情報を発信しているお医者さんもいます。清澤眼科医院・清澤源弘院長(第9回 「すべては患者さんのために」を実践する)が運営しているブログは「清澤眼科医院通信」。眼の病気にまつわる情報を中心に、医療に関するさまざまな話題を取り扱っています。患者さんから送ってもらう花の写真を添えるなど、難しい内容でも楽しんでもらえるように工夫されています。
池袋クリニック・村上雄太院長(第23回 「女性のかかりつけ医」であるために)は掲示板で患者さんからの相談を受け付けています。やるとなったらとことんやりこむ性分ということで、一週間以内に返信を書き込みことを目標に、診療後の深夜にパソコンに向かっています。男性の産婦人科医に不信を持つ女性も少なくありませんが、掲示板でのやりとりを読むことによって信頼を感じて、来院される患者さんも増えてきたとのこと。
こばやし歯科クリニック・小林裕直院長(第36回 人の嫌がる仕事をやろう)も2年前からブログを書くようになりました。医療のことや政治や社会ネタもありますが、基本的には日常生活の話題が中心とのこと。「ブログを通じて僕の人となりを少しでも知ってもらい、気軽にクリニックを訪れていただきたい。クリニックに訪れる前の段階から、歯科に対しての敷居を低くしたいと思っています」とおっしゃっていました。患者さんからの「ブログを見た」とか「面白かった」をいう言葉がはげみになっています。
インターネットを利用する患者さんに対してアドバイスをくださったのが、村井おなかクリニック・村井隆三院長(第49回 負担を少なくするのも、治療)です。「ご自身で調べても、こちらの言うことに聞く耳を持って下さるなら良いのですが、そうでない方も数多くいらっしゃいます。情報で自分が凝り固まってしまっているんですね。患者さんには一番賢い選択をして頂きたい、確実に治ってほしい。だから一番良いと思われる治療法をご提案するのですが、それが受け入れられないのは非常に残念なことです」と。お医者さまは責任をもって、患者さんにベストな選択をしてもらいたいと考えています。
気分をリフレッシュするために ―― 趣味はなんですか?
とかく忙しいお医者さん。趣味の時間を持つ余裕がないということになりがちですが、東銀座クリニック・大江康雄院長(第5回 目では見えない傷を診る)は、帰ってから寝るまでの時間を楽しむようにしているそうです。ジャズに浸って読書をしたり、ぼーっと過ごしたり、たまには仕事のあとに飲みにいくこともあるとか。「やりたいことを我慢していると心の健康によくありません」という言葉は、精神科医の先生がおっしゃると説得力がありますね。
代々木の森耳鼻咽喉科・森幸子院長(第7回 家族への想いが進路を決めた)は茶道のお稽古を大学時代から15年以上も続けています。普段の生活では医療以外の職種の方と話す機会がほとんどないため、日常から離れた世界にあそびながら、まったく違う業種の方たちと話すことで気分をリフレッシュできるそうです。
井上医院・井上毅院長(第8回 志したときから、高齢社会を意識した)の「唯一無二の趣味」が釣り。買ってきたそのままの竿を使うのではなく、分解して再構成したり、漆で固めなおすなどのカスタマイズまでする本格派。お金もそれほどかからず、お魚はおいしく、しかもみんなに喜んでもらえるのが釣りの醍醐味だそうです。
同じく釣りを趣味としているのが斉藤歯科クリニック・斉藤正徳院長(第12回 幼い頃の経験が自分を導く)。クリニックのある日吉に近い横浜で海釣りを楽しんでいます。やはり釣竿にはこだわりがあるそうで「都会と断絶された海の上で、自然と遊ぶのは気が晴れます」とおっしゃっていました。
蒲田西口クリニック・菅澤恵子院長(第41回 医者に文句を言うために医者になりたい)は、子供の頃にならっていたピアノを40歳を超えてから再開しました。「家で練習していていると、夫から『そんな音のはずれる演奏はやめてくれ』と言われます」と笑顔でおっしゃっていました。上達することよりも、気分転換のためということで、好きな曲ばかりをゆっくりと楽しんでいるそうです。
もともと運動が好きであっても、忙しかったり怪我を避けるために、今ではスポーツから離れてしまったという先生もいらっしゃいましたが、にしや耳鼻咽喉科クリニック・西谷全弘院長(第50回 空に憧れる、週末は「フライング・ドクター」)は、度重なる大怪我にも負けずマリンスポーツを楽しんでいます。中でもはまっているのはカイトサーフィン。海上での動きの自由度の高さ、スピードとスリルを存分に味わえることが魅力だとか。
患者さんの感謝の言葉が一番! ―― 医師になってよかったことは?
「医師になって良かったこと」という質問に決まって返ってくる答えは、「患者さんが回復したとき」という言葉です。ジーク夏見クリニック・神野伸司院長(第20回 4000年の「治験」結果を受け継いで)は「患者さんのうれしそうな笑顔、重症のアトピーで苦しんでこられ改善されたお子さんのお母さんからの、涙ながらの感謝のことばなどを受ける時、月並みな言葉ですが医者冥利に尽きるという感じがし、医師になってよかったとつくづく思いそれが私にとって大きな喜びです」とおっしゃっていました。
フェニックス メディカル クリニックでは不妊治療も行っています。患者さんが妊娠して他院で出産したあと、退院日に自宅に戻る前にクリニックに立ち寄ってくれることが多く、そんな時はとても嬉しいですと、賀来宗明院長(第22回 患者さんとは“一会一生” )。生まれたばかりの赤ちゃんとお母さんを撮った写真はもう何千枚もあり、かけがえのない宝物となっています。またご家族の受診などをきっかけに若い人が、医学部や看護学部などを目指すことになったと聞くのは感慨深く、彼らの「いつか一緒に働きたい、同じ夢を見たい」言葉に「泣きそうになりますね」と。
下町・墨田区にある両国眼科クリニック・内野美樹院長(第30回 顕微鏡下手術の魅力に惹かれて)は、音楽をやっている患者さんからコンサートのお誘いをうけたり、ご自宅でとれた手作りの煮豆をいただいたりすることがあるそうです。「医者と患者」ではなく、そうした「人と人」として接することができる下町の雰囲気が大好きだそうです。
私たちがお医者さんに会うのは、病気のときばかりです。ただでさえ診察時間は限られているのに、身体の具合が悪いときにお医者さんの人となりまで感じ取ることはできません。
初めて会うお医者さんをすぐに信頼して、身体の悩みや生活習慣を何もかも話すことは難しいですよね。ですが、お医者さんもさまざまな個性や感情を持った人間だということを、ちょっとだけ意識してみると、診察をうけるときの心の敷居が下がってくるのではないでしょうか。
お医者さんに親しみを持つことで、病気が悪化するまえに診察をうける習慣がつけば、より健康で安心した生活を送ることができるかもしれません。そのきっかけになることを望んで、これからもさまざまなお医者さんの素顔を紹介していきたいと思います。
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